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世界初!細菌由来の血管新生因子を発見 再生医療への応用に期待

世界初!細菌由来の血管新生因子を発見 再生医療への応用に期待

2020.07.23

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感染症を引き起こすとして知られる「バルトネラ属細菌」から血管新生因子を発見したとして、藤田医科大学と大阪大学の共同研究グループが、英国科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に論文を発表した。再生医療や創薬への応用を期待できるという。

血管新生とは、既存の血管から新しい血管が形成される現象をいう。創傷治癒を促すなど、ヒトの機能維持に重要な現象でありながら、がんの多臓器転移や予後不良にも関係すると報告されている。がん細胞は自身の増殖に必要な栄養を取り込むために、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)を分泌、それが血管内皮細胞へと働きかけることで、血管新生が起こるのだ。こうした背景からVEGFを標的にした治療薬の研究や、血管新生のメカニズム解明が進められている。
今回研究グループが着目したのは、血管腫を形成するバルトネラ属細菌の性質。魚類や哺乳類まで、幅広い生物に存在することがわかっていたVEGFだが、細菌由来のものはこれまでに見つかっていなかった。

バルトネラ属に分類される細菌は、現在30種類以上あるとされる。そのなかで今回の実験対象となったのが、猫ひっかき病の原因となる「バルトネラ・ヘンセレ」と、シラミなどが媒介する塹壕熱の原因「バルトネラ・クインタナ」。いずれも免疫不全状態の患者が感染すると、「細菌性血管腫」を作るなどして重傷化することがある。
これらの菌は生存に有利な環境をつくるため、感染者の血管内で血管内皮細胞の増殖を促し、血管新生を起こすという独自の性質を持っている。こうした要因からバルトネラ属細菌が”細胞増殖を刺激する因子を分泌している”と20年以上も前から考えられてきたものの、その物質の特定にまでは至っていなかった。

研究グループは、バルトネラ・ヘンセレのゲノム上に無作為に変異を起こし、解析を行った。その結果、ゲノム編集された菌を細胞に感染させても、細胞増殖に至らないことが判明。同グループにより、細胞増殖の促進や血管新生を亢進するこの遺伝子由来のタンパク質は「BafA(Bartonella angiogenic factor A)」と命名された。さらに同グループは、BafAが血管内皮細胞のVEGFの受容体に作用し、血管新生を亢進させるシグナル伝達経路・MAPK-ERKを活性化するという作用機序も明らにし、これらの成果からBafAを、「細菌由来として世界初の血管新生因子」として発表した。

今回の発見により、バルトネラ感染症の新たな診断法や治療法の開発が期待できる。さらに研究グループはBafAを基にした創薬や、人工臓器に血管を貼り巡らせるなど再生医療分野への活用を目指した応用研究をすすめるという。今後の展開に注目が集まる。

参考:
『医学部微生物学の塚本健太郎講師らの研究成果が英国科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載』藤田医科大学
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv0000006dd9.html

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