「医療を求めて海外へ行く時代。~医療観光先進国、韓国の事例に学ぶ~」 後編
2019.04.30
日韓関係の悪化が騒がれている昨今、韓国を訪問する日本人が増えている事をご存知だろうか。
韓国観光公社の統計によると、2016年以降韓国を訪れる日本人観光客数は年々増加傾向にある。これには、どうやら第三次韓流ブームが影響しているようだ。だが、それと同時に医療観光を目的として韓国を訪れている日本人も、2017年以降増加しているという点が非常に興味深い。整形大国と言われた韓国医療の現状は、果たしてどうなっているのだろうか。
《日本人が韓国で一番受けている治療は“皮膚科治療”》
韓国といえば“整形大国”という言葉を思い浮かべる人も多いだろう。実際に韓国の美容整形市場の規模は、世界の美容整形市場の4分の1を占めているとも言われている。そのような国に「医療を受けに行く」と言えば、「整形をしに行くのか?」と思う方も多いだろうが、実はそうでもないようだ。
KHIDIが2018年に発行した“2017年外国人患者誘致実績統計分析報告書”によると、2017年に韓国医療を受けた日本人計27,283人のうち30.3%に当たる9,277人が、皮膚科を受診していたという。次に多かったのが韓方統合(韓方を利用した全ての診療)で、それに美容整形外科が続く、という結果であった。世界的にもレーザー治療や各種注入治療などの、いわゆる『切らない治療』の需要が伸びているが、元々美容整形に対してある程度抵抗のある日本人にとっては、周囲にバレないプチ整形や侵襲の少ない治療が人気なのも納得できる。
また、韓国の伝統医学である韓方治療も非常に人気だ。WHO(世界保健機構)は、韓方を韓国特有の医術として分類しており、その治療法や処方は西洋医学とはまた違うと定義している。韓国の韓方医は西洋医学の薬剤や機器を扱うことはできず、その棲み分けもはっきりしている印象だ。
ソウル市内東部にある韓方市場では、韓方の材料が所狭しと売られており、韓方治療を行うハニウォン(韓医院)も多く存在する。個人の体質に合わせた治療法で体質改善をしていくことで体の不調を取り除くという考え方が、日本人の性質に合っているのかもしれない。
《世界で一番満足度が低い日本人?》
KHIDIが発表した“2018年度外国人患者満足度調査”によると、日本や米国、中国などの主要国家を含んだ8つの地域の外国人患者中、満足度が最も低いのは日本人であった。特に日本人患者は入退院時の手続きの案内・術前術後の説明・待ち時間などの点で満足度が低かった。近年日本の医療機関ではこういった案内や説明がしっかりなされていることから、韓国でのサービスに少し物足りなさを感じるのかもしれない。
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