“偽薬”を医療現場で応用 プラセボ効果への高まる期待
2019.03.29
“偽薬”が医療業界の救世主となる日が来るかもしれない。プラセボ効果が持つポテンシャルの高さはかねてより注目されており、その研究には期待が高まっている。
プラセボ効果(プラシーボ効果)とは、薬用成分を含まない偽薬を薬だと偽って処方した際に、薬を服用したという安心感から症状が改善する現象のことである。この効果を応用すれば、治療のみならず、使用する薬を減少させられるという利点もあるため、高騰する社会保障費の削減にもつながるのではないかと期待されている。
世界初のプラセボ効果を利用した治療「トラクター」
プラセボ効果についての初めての研究は、18世紀、英人医師ジョン・ヘイガースによるものだといわれている。当時、イライジャ・パーキンズという米人医師が「トラクター」と呼ばれる治療法を開発した。これは2本の金属の棒で痛む部分を数分間こすると、痛みの緩和や、痛風、リウマチ、麻痺、筋力低下を改善させられるというものである。
この治療を受けた患者からは症状が改善されたとの報告が上がっていたが、疑問に思ったヘイガースは骨や石筆、タバコのパイプなどのいくつかの素材で同様の実験を行った。すると、いずれも「トラクター」と同じ効果が見られたという。
結局、「トラクター」はただの鋼と真鍮製の代物であり、症状の改善は患者の思い込みが原因であったとの結論が導き出された。それ以来、プラセボ効果についての研究は世界各地で進められている。
偽薬だとわかっていても効果がある?
また、米ハーバード大学のテッド・カプチャック医師らによる研究では、偽薬を偽物だとわかった状態で摂取しても効果があることが証明された。
過敏性大腸症候群の患者に対して、偽薬を「この偽薬は砂糖などの何ら効果のないものから作られているが、心と身体の自己治癒力によって、治療に効果がみられている」と説明して投与した。薬瓶には“偽薬”と書かれたラベルまで貼ってあったという。
ところが、偽薬だとわかっているにも関わらず、患者の6割に症状の改善が見られたという。この数字は、現在、過敏性大腸症候群の治療に用いられる薬の効果に匹敵する数字である。
偽薬「プラセプラス®30」の販売も
そんなプラセボ効果に目を付けて、積極的に偽薬を作っているのがプラセボ製薬株式会社である。滋賀県に本社を置くプラセボ製薬は、偽薬と謳った食品の販売を主な事業として掲げている。主力商品は偽薬「プラセプラス®30」。
“本物の偽薬”をキャッチコピーにしている本製品には、有効成分は一切入っておらず、原材料は、還元麦芽糖、結晶セルロース、ステアリン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素のみとなっている。
1箱30錠入りで、希望小売価格は999円である。
介護現場での応用や、社会保障費の抑制にも?
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