ドクターの手作り品を世に広める(1)【連載:薬事の虎 for 自費研】
2021.07.12
1%のCBDクリームを売りたい
私の顔面が原因不明の肌荒れで赤くなっているのを見て、知り合いのドクターがオリジナルのCBD1%配合のクリームを私に処方してくれました。こんな風にドクターが手作りで作ったものを治療に使いたいというのはよくあることなのですが、こういう手作り品の販売はどこまで許されることなのでしょうか?
今回はその説明をしたいと思います。
(※なお、予めお伝えしておきますと、これから説明する内容は、歯科医師にも、同じように妥当します)
医師の手作り品販売ルール
手作り品の販売はどこまで許されるのか? 結論から言うと、医師の場合、条件さえ満たせば、たとえ体に塗るものであっても、化粧品登録・製品化無しで、しかも薬事法にとらわれず効果をうたって手作り品を販売する事が可能です。極端な話、自分の家の庭からハーブを摘んできて、それが疾病の治療に役立つと伝え、販売する事もできます。たとえば、医師のオリジナル手作り品CBD1%配合クリームを、化粧品登録・製品化せず、「アトピーに効果がある」として販売する事も許されます。治療に何を用いるかは、医師の裁量だからです。
しかし、物販によって医師が逮捕される刑事事件が実際に起きている事を、あなたもご存知かもしれません。もちろん、通常の物販では、化粧品登録・製品化無しで、「効果がある」といって手作り品を販売するなど、薬事法上、非合法な行為です。問題は、なぜ医師であっても、薬事法の規制に取り締まられ、逮捕される事件が発生しているのかという点です。
実は、医師の手作り品の販売は、診療を挟まなければ、単なる物販と同じ扱いになってしまうのです。つまり、医師は患者を診察し、その診断結果に基づいていれば手作り品を自由に販売できる一方、診療を挟まずに販売してしまうと、薬事法に抵触してしまうのです。
「コロナに効果がある」といえるのか?
では、医師の手作り品販売において、商品の効果はどこまでの表現が可能なのでしょうか?
昨今、「コロナに効果がある」とうたいたがる業者が後を絶ちませんが、行政はこのキラーワードを非常に厳しく取り締まっています。通常の物販で「コロナに効果がある」とうたえば、即逮捕されると言っても過言ではありません。通常の物販では、その効果がもし事実だとしても、効果をうたって販売する事はできないのがルールだからです。
しかし、物販の前に診療を挟むという条件さえ満たせば、医師は「コロナに効果がある」とうたって手作り品を販売する事も可能です。
実際に私のクライアント案件で、医師のオリジナル手作りスプレーを「コロナに効果がある除菌スプレー」として販売している事例があります。対人スプレーの「除菌」は、薬事法上、本来は医薬部外品でなければ使えないフレーズです。販売しているスプレーは手作り品ですから、もちろん医薬部外品ではないのですが、このケースでは「除菌治療にこのスプレーを用いる」というロジックで、物販プレイヤーにはできない事を実現しているわけです。
わかりやすく言うと、医療法・医師法は薬事法に勝る、と言えます。「診療」があれば、「癌が治る」「痩せる」「コロナに効果がある」等、どのような効果でも表現する事が出来るのです。
近所の人にしか売れないのか?
医師の手作り品販売において、「診療が不可欠」は絶対的ルールです。医師であっても、診療無くしては、手作り品を販売できませんし、効果も訴求できません。ここで気になってくるのが、「診療が不可欠なら、来院可能な患者にしか、手作り品を販売できないのか?」という事でしょう。今回のタイトルは「ドクターの手作り品を世に広める」ですが、クリニックまで来院できる患者にしか商品を販売できないのであれば、ごく限られた人しかターゲットにできず、「世に広める」までは難しいと言えます。
自費研カタログ関連商品
自費研カタログ関連商品はありません
Clipを上書きしてもよろしいですか?