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老いなき世界の実現なるか 注目物質NMN
2021.02.24
昨年、ハーバード大学医学大学院教授・デビット・A・シンクレアの著書「ライフスパン~老いなき世界~」が、一般向け科学啓蒙書としては異例のベストセラーとなった。書籍内で取り上げられた「NMN」は「画期的な成分」だと多くの話題を呼んだ。果たしてこの「NMN」とはどういったものなのか。2016年に設立されたバイオベンチャー、ミライラボバイオサイエンス株式会社の清水宣明研究員に話を聞いた。
NMN注目の背景は
——NMNとはどのようなものなのでしょうか。
NMNとは正式名称を「βニコチンアミドモノヌクレオチド」といい、様々な食品、生物の細胞内に含まれています。細胞内でビタミンB3をもとに作られていることからも、身体に取り込んだ時の安全性は非常に高い物質だといえるでしょう。
——なぜ、いま脚光を浴びているのでしょうか。
もともと注目を浴びていたのは、ミトコンドリアでのエネルギー産生反応に利用されるNAD(ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド)という成分でした。NADは加齢とともに減り続け、この減少がさまざまな疾患の引き金になることが示唆されています。NADは細胞内に取り込まれた糖分や脂肪分をエネルギーに変換させます。このとき、酸素を使った効率的な代謝のことを「好気的代謝」と呼びます。好気的代謝のためには、NADは常に体内にいなければなりません。老化によって体内のNADが減ってしまうと、食べたものからエネルギーを作りづらい状態になるのです。
ところがNADを生物に補充しても、途中で分解され血液から細胞にまで届きづらいことがわかってきました。マウス実験などにより、NADの前駆体、いわゆる「大元」であるNMNを摂ると、血液に入りやすく、血液から細胞のなかにも補充されることがわかりました。つまり、NMNを使ってNADの量を増やすことでエネルギー利用率をあげる、ということが老化の抑制メカニズムに大きく関わると評価されているのです。
求められるのは、安全性と品質の担保
——NMNのブームをどのようにお考えでしょうか。
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