エビデンスは自分でつくる 私が再生医療の道に至るまで ~大宮ひざ関節症クリニック院長 大鶴任彦先生~
2019.09.26
2015年の開院以来、変形性膝関節症専門クリニックとして数多くの幹細胞治療にあたってきたひざ関節症クリニックグループ。7月にはグループ5院での幹細胞治療症例数1,000を突破、その経験値の高さが患者からの支持を集めている。論文執筆、学会発表にも精力的に取り組む大宮院院長 大鶴任彦先生に、変形性膝関節症における再生医療の可能性についてお話を伺ってきた。
保存的加療に可能性を見出して
人工関節置換術、骨切り術、関節鏡…東京女子医大整形外科勤務の20年間で、様々な手術を経験しました。若いころは手術がいちばんだと思っていましたが、感染症や静脈血栓塞栓症などのリスクがあります。侵襲の低い保存的加療に可能性を見出し、違う道へすすんでみたいと考えた時に、大きく分けて候補はふたつでした。誰もやっていない新しい治療と、さらに齢を重ねた将来でも携われるであろう整形外科。当時46歳の私は、新しいこと=再生医療をやるなら今しかないと考えました。
大学時代はずっと、論文執筆や学会発表を積み重ねてきたので、それらが再生医療に携われることで継続できる環境は魅力的でした。これまでトピックスを作ってきた私にとって、一般に知られていないことや、医学的根拠(エビデンス)・歴史に乏しいなどということは問題ではありませんでした。そんな希望がマッチして、ひざ関節症クリニックに入職することとなったのです。
変形性膝関節症治療の新たな選択肢、再生医療
大前提として、患者様の年齢や病態により治療方針は千差万別です。しかしながら末期の変形性膝関節症には標準治療とされている人工膝関節置換術があります。手術時間や入院期間の長さなど、身体への負担の大きさが懸念となるものの、痛みの消失が期待できる優れた治療です。
それでも受けたくない、仕事や家庭の事情により今は受けられないなど、様々な理由により手術を避けたいというニーズがあります。ヒアルロン酸注射、電気治療などの従来治療は病期が進行するほど「気休め」以上の効果はありません。ここへ新たな選択肢として、私たちが取り組む再生医療が加わったのです。再生医療というと魔法のようなイメージを持たれる患者様がいらっしゃるのですが、充分なインフォームドコンセントをすることでコンプライアンスのとれた状態で治療に入るように心がけています。
ひざ関節症クリニックでの再生医療とは
当院で扱う治療の二本柱となるのが、PRP-FD®治療と培養幹細胞治療です。
自己血を遠心分離してそのまま用いるPRP(多血小板血漿)と比較した場合、PRP-FD®は同量の血液中の成長因子の量が約2倍であること、凍結乾燥化する事で長期搬送に耐え室温での保存が可能になる点がメリットです。さらに言うと、PRP-FD®は細胞を含まないため、厳密には再生医療法のカテゴリーからは外れます。新法の手続きが不要なので、導入するクリニックも増えていると聞いています。培養幹細胞治療に関しては、皆様ご存知のとおり、腹部の皮下脂肪から抽出した幹細胞を培養し膝関節腔に注入する流れです。
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