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変化する幹細胞治療~ 乳歯歯髄幹細胞培養上清液とは~
2020.02.27
現在多くのクリニックで導入されている幹細胞治療。なかでも乳歯歯髄幹細胞に着目し、日々の臨床にあたられる古賀祥嗣先生にお話しを伺った。
再生医療の現状とは
再生医療新法の施行により、三種の技術分類がなされた再生医療。この法の適用となるのが、細胞を用いた医療です。日本国内においては、新法第二種の枠組み内で、脂肪幹細胞移植が高額な治療費で提供され、「究極のアンチエイジング治療」かのように謳われています。日本再生医療学会の認定医が非常に少ない今、基礎知識やリスクを把握したうえで、臨床にあたられる医師はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
私が幹細胞培養上清液を用いた治療を始めたのは2016年のことでした。細胞を含まないこの療法に至る経緯をお話しする前に、まずは幹細胞治療について考えてみたいと思います。
医師の皆様ならご存知のとおり、幹細胞は「自己複製能」と「多分化能」というふたつの能力を備えています。自己複製能とは幹細胞が分裂して2つの細胞が生まれた時に、1つを自分のコピーとして幹細胞自体を生み出す能力をいい、多分化能とはもう1つの細胞を異なる機能をもつ細胞へと分化させる能力のことをいいます。これらのはたらきにより、幹細胞は傷ついた細胞の修復や補充を行い、私たちの身体は健康に保たれているわけですが、幹細胞の機能維持を支える周辺細胞・ニッチが加齢すると、幹細胞へとダメージが蓄積していき、最終的にふたつの機能が衰えてしまうのです。これをステムセルエイジング、一般に言われる老化現象です。
現状の幹細胞治療でメジャーなのが、脂肪などから採取した幹細胞を移植する方法です。しかし前述のように、ある程度年齢を重ねた方から採取したものには、何らかの異常をきたした細胞が混ざっているおそれがあります。これらを培養して身体に入れた場合、がん化してしまう可能性は捨てきれないのです。米FDAも発表しているように、安全性や効果に関してのエビデンス確立が難しい幹細胞治療の認可は取得困難なのです。
幹細胞治療の主流メカニズムの変化
幹細胞治療が始まった当時の治療コンセプトはリプレイスメントセラピー。移植した幹細胞が増殖していき、心臓に移植をすると心筋細胞になっていくというダイレクトな変化が、幹細胞治療の主流メカニズムとされていました。ところが近年、移植した幹細胞が理論通りに変化をしていないことがわかりました。幹細胞を移植しても、そのほとんどは2週間以内に死滅してしまっていたのです。わずかに生存していた幹細胞も、障害部位まで届くことはなく、移植した幹細胞が心筋になるということは考えづらいのです。
しかし、幹細胞移植が全く意味のないものかというとそうではありません。「幹細胞が分泌する物質」による、若干の症状改善が認められたのです。心疾患のある方に幹細胞培養上清液を投与すると、投与された側の幹細胞に作用し、心筋細胞になっていく可能性があるのです。このようなインダイレクトなはたらきを「パラクライン効果」といい、この効果を期待した幹細胞治療が注目されています。
私が特別顧問を務めるクリニックでは、乳歯歯髄幹細胞を、独自のプロトコルで精製し、治療に用いています。乳歯の歯髄から取り出した幹細胞を培養した後は、細胞はひとつ残らず除去してしまいます。徹底した管理の下、ウイルスチェックまでをクリアしたこの乳歯歯髄幹細胞培養上清液には、サイトカインやエクソソームが豊富に含まれています。
注目の物質「エクソソーム」とは
研究の急速な進歩により、エクソソームについての論文が増えたのはここ5年のことです。エクソソームとは、細胞から分泌される小型膜小胞のことで、ほぼすべての体液中に存在しています。その存在自体は30年以上も前に発見されていたものの、細胞の不要物のように認識されていました。
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