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再生医療の正しい普及をもとめて『自己血を使用したサイトカイン療法』のすすめ
2019.08.02
8月9日(金)、10日(土)に開催される『自費研フェス2019』にご登壇いただく、辻クリニック理事長・辻直樹先生。健康寿命延伸のため、さまざまな自費診療に取り組んでこられた辻先生が『自己血を使用したサイトカイン療法』に至るまでや、再生医療に対するお考えを伺ってまいりました。
■再生医療を正しく位置づけたい
みなさんご存じの再生医療新法が施工されたのは今から3年前、平成26年の出来事です。私はそれ以前から、プラセンタ、PRP、幹細胞療法などさまざまな自費診療に取り組んできました。目標は健康寿命を伸ばすこと。いたずらにただ延命するのではなく健康で若々しい状態をいかに長く保つことができるか。医療は魔法のようなものではない、それは再生医療でも同じことです。そのためには適切な知識の運用がもっとも重要だと考えます。
新法の適用後、再生医療に対する正しい理解は広まるどころかますます誤解されていると私は感じます。例えば幹細胞治療。がんやパーキンソンや糖尿病、それらのしかも重篤な状態に陥った状態に対して、最後の手段として持ち出されることが多い治療です。
しかし、未分化細胞を用いた臓器形成も研究中であるにもかかわらず、間葉系幹細胞(MSC)を直接、体内に入れることで疾患部位に自動的に作用して疾患が治る、というようなことが本当に起こり得るのでしょうか。実際にそのように説明している企業、クリニックもいくつか散見されますが、これはエビデンスレベルでは論理の飛躍と言わざるを得ません。MSCは最近の知見だと成長因子を放出するシグナルとして重要な役割を果たしているという機能が解明されたに過ぎず、過度な期待を負わせるべきではありません。
幹細胞にかかわらず、PRP・培養上清・サイトカイン・幹細胞・臍帯血、、、それらはネーミングが先行してあたかも疾患に対応する“治療薬”のように、あるいは魔法のようにあらゆる疾患を治してしまう“万能薬のように”、説明がなされていないでしょうか。
■『自己血を使用したサイトカイン療法』に至る道
私は、再生医療は“予防”のための治療である、と考えています。細胞は老化を経て、再生する力を失い、やがて人体は疾患に陥ります。再生医療はその速度を緩和して、疾患に陥る前の状態を長引かせることにこそ主目的があるととらえるべきです。
たとえば、がんは今の技術では少なくとも再生医療では治せない、それどころかかえって悪い影響を与える可能性も十分にある。私はクリニックに来られる患者に、標準治療も含めたさまざまな選択肢を提示するようにしています。しかしこと再生医療となると患者様にも医師たちにも、「そうならないために予防する医療」ではなく「そうなったときの最終手段」として誤解されているのではないでしょうか。
私は5~6前から幹細胞治療をやってきて、いまはサイトカイン療法に関心が移ってきました。幹細胞を提供してもそれは医師には治療経過をコントロールすることが難しい。ところが、安全かつ安価に、原理上は同じ作用が期待できる治療が他にあります。フェスの講義では、こうした認識に至る道筋を多くの方に知っていただきたいと思っています。
現在の再生医療の最前線は、それが「何に由来しているか?」ではなく、「どういった成分を保持していてそれがどのように作用するか?」ということに着眼点が移りつつあります。
詳しくはイベント当日にスライドを使ってご説明しますが、
・間葉系幹細胞と臓器幹細胞の関係
・サイトカインはどのような作用を行うものか
・炎症系サイトカインと抗炎症サイトカインの違い
など、今日の再生医療にまつわる概要をご説明したうえで、現在、私が期待を寄せている『自己血を使用したサイトカイン療法』をご紹介いたします。
『自己血を使用したサイトカイン療法』は、その名のとおり自己血を用いた血清治療です。血液分離剤や血液抗凝固剤、塩化カルシウムなどを使用せず極めて安全性が高い。また、細胞を用いた治療ではありませんので新法の適用外となり、医師にとって導入がしやすいのも大きな利点です。関節から内臓まであらゆる炎症性疾患に対して適用が期待されること、また、眼科領域、美肌・毛髪などの美容領域、歯、に対する応用も検討されています。
再生医療の本義は、細胞の「酸化」つまり「老化」に対抗して体内を若々しく保つことだと考えています。当日は科目を超えてあらゆる方々に、この治療の面白さと意義をお伝えしたいと思います。
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