製剤の特長を活かして「何もしていない」ように見せるのが最終到達点。そこに向かって注入をデザインします。
2019.05.24
近年、注入治療は急速に普及していて、この治療を希望してクリニックを訪ねる患者さんの年齢層もますます広がっている。「思っていたような仕上がり」を実現するためには、製剤の選択と医師のセンス・技術が必要になってくる。注入製剤の開発は進んでおり、安全性、持続性に加えて医師の思うような仕上がりができるかどうかが注入製剤の選択のポイントである。
症例ごとに異なる、「美しさのバランス」を重視した治療をモットーとする、福岡・博多のビスポーククリニック院長、室孝明先生に注入治療についてお話を伺った。
形成外科医としてのキャリアの始まりは鼻や顔面の再建と伺いました。こちらのクリニックでは、注入と外科ではどちらが多いですか?
クリニックの強みは外科系ですが、注入や機器のご希望も多くあります。外科手術の前に、まずはヒアルロン酸でやってみるというケースです。輪郭を作るときには、製剤の特性を活かして全体のデザインをしています。
「クレヴィエル コントア」を使われている理由は?
鼻や顎への注入は、「クレヴィエルコントア」をファーストチョイスとして使っています。
「クレヴィエル コントア」の特長は、形状を維持する力の強さと安定性です。これは輪郭形成を行うにあたって、大変有り難い特長です。他のヒアルロン酸と比べて吸水率が低く、広がっていくこともありません。シャープな輪郭を出す上で、丸みは要らないのです。丸みは手技で作るものであり、製剤が勝手に丸くなってしまうのは困ります。頬のボリュームアップなどで使う場合には必要なこともありますが、輪郭形成を作る場合には丸みや広がりは必要ありません。
例えて言うなら、「水で濡らして固めた砂」でしょうか、そのような質感の製剤が他にはあまりないですね。他の製剤は粘弾性の高いものでも「わらび餅」のような質感にしかなりません。わらび餅では高さ出すために横にも広がってしまうので、高さを作るには不向きでした。コントアは高さを出すと簡単には崩れない。注入後2週間くらい経過すると、より固くしっかりと形がキープされるようです。これが出来るのは今のところコントアのみだと思います。輪郭作りをメインとした仕事をする私としては、非常に重宝する製剤です。
ただし、コントアを分解する際は、HA濃度50mg/mlという製剤の特性上、ヒアルロニダーゼを通常の1.5〜2倍は投与しないと分解されないので、一カ所への大量注入を避け、慎重な注入を心がける必要があります。
治療後の形の持続性についてはいかがでしょうか?
鼻の場合だと完全に無くなるのは5年くらい、もしくはもう少し長いかもしれません。ヒアルロン酸は吸収されると言われますが、鼻や涙袋のように表情筋の動きが少ない部位は、注入直後の半分くらいまでは減っていきますが、その先は吸収されにくいようです。
鼻の注入形成で鼻中隔延長を行うこともありますが、その場合でもコントアの持続性が確認できています。
「クレヴィエル プライム」はどのように使われていますか?
プライムの良さは馴染みがよく高さがそれなりに出て、しかも量が少なくて済むため額に使用することが多いです。丸みや高さを出すためにたくさんの量を入れるとパンパンになって目元に流れて腫れてみえることもありますが、プライムは少量で欲しいボリュームを足せるので重宝しています。広がりにくい特性から、涙袋にもプライムを良く使います。顔が大きくなりたい人はいませんから、「ボリュームアップさせ、かつ顔は小さく見せる」「5cc入れて、結果10cc小さく見せる」という一見、矛盾した課題に応えなければなりません。それには、平坦な顔を立体的にボリュームアップすることで、光と影のバランスを変え、顔を小さく見せること。鼻の形を変えるだけでも顔は小さく見えるようになります。顔の重心が変化するからです。しかし、バランスを考えないと口元が大きく目立つようになるケースもあります。アジア人は鼻から下が大きい人が多い。しかも、加齢によって顔の下半分が大きくなって、上半分はこけてくる傾向があります。クレヴィエルプライムは曲線を、クレヴィエルコントアは直線を形成するのに長けているので、うまく使い分けると良い結果につながります。
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