【連載】体の内側から美しく、健康に ~コラーゲンを摂るという考え方~
2018.11.26
コラーゲンの摂取が肌の状態を改善し、美容や健康のために良いというのは本当なのであろうか。コラーゲンの生体内における吸収等について研究されている京都大学大学院農学研究科の佐藤健司教授に語っていただいた。
コラーゲンが美容や健康のために良いとされる根拠としてあるデータ
昨今の美容ブームの高まりに伴い、コラーゲンを含有した様々なサプリメントや食品が商品化され、それらを飲み続けている消費者は少なくありません。しかし従来の栄養学では、コラーゲンは消化の過程でアミノ酸にまで分解され吸収されるため、美容や健康に対する特別な効果は期待できないと考えられてきました。しかし、本当にすべてのコラーゲンがアミノ酸単位にまで分解され、特異な効果を示さないのでしょうか。
この疑問を確かめるべく、私たちの研究グループはコラーゲン摂取後の血液を継時的に採取、コラーゲンペプチドに特徴的に含まれるヒドロキシプロリン(Hyp)を指標として、その血中内の濃度を測定しました。その結果、10gのコラーゲンペプチド摂取後、Hypの濃度は食後30~60分で最大となり、遊離状態でアミノ酸として存在するHypの濃度は20~130nmol/mL、ペプチドとして存在するHypの濃度は10~40nmol/mLであることを発見しました。さらに、ペプチド型Hypは、3時間後も末梢血中に約20nmol/mLという高い濃度で存在すること、さらに構造解析を行った結果、ジペプチドであるプロリルヒドロキシプロリン(Pro-Hyp)が最も多く存在することがわかりました。これらの結果は、末梢血中にみられるPro-Hypが摂取したコラーゲン由来である可能性を示すとともに、コラーゲンはすべてアミノ酸単位に分解・吸収されるという従来の栄養学の考え方を一部覆すものです。
次に、Pro-Hypの生理活性について検証するため、マウス皮膚から直接採取した線維芽細胞をコラーゲンゲル上で培養し、遊離プロリン(Pro)、遊離Hyp、Pro-Hypをそれぞれ添加しました。
その結果、Pro-Hyp添加群においてのみ、線維芽細胞の増殖が確認されました。さらにマウスの皮膚を用いた試験において、Pro-Hypは皮膚からの線維芽細胞の遊走数を促進することも確認されました。
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