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「XR×3DPRINTING MODELからみる未来型HANDS ON SEMINER」 ―サイナスラテラルアプローチを徹底解説― セミナーレポート

「XR×3DPRINTING MODELからみる未来型HANDS ON SEMINER」 ―サイナスラテラルアプローチを徹底解説― セミナーレポート

2021.06.18

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歯科界初のXRセミナーが2021年6月6日(日)、東京にて行われた。主催はDental Prediction代表取締役の宇野澤元春先生(歯科医師)と、XR、VRを活用した医療分野での展開を行っているHoloeyes社である(計6社共同開催)。歯科界の新たなセミナーのかたちとは。自費研歯科担当が取材に入った。

オリジナリティあふれるセミナー内容

「今回のセミナーのゴールは『実際にサイナスラテラルアプローチができる、またほかの先生方に教えられるようになること』です。」

主催の宇野澤先生によるサイナスリフトのラテラルアプローチの講義はこの言葉で開始された。受講者の手元には事前に用意された3D Printing Modelやオペに必要な器具一式。講義で話を聞きながら、実際の症例から作製された3D Printing Modelでイメージを膨らませることができる。

▲当日の準備物

通常のハンズオンセミナーでは、スライドによる講義と模型(既製模型・豚顎骨)による実習、が今までのスタンダードであった。今回のセミナーは、通常の模型ではなく過去の症例の3D Printing Modelが用いられた。実際の自然孔やシュナイダー膜の位置や感触がまさに「手に取るように」理解できることが最大の特徴だ。
3D Printing Modelの利点は症例の状態を再現できることにある。その一方で、シュナイダー膜の柔らかさや厚みを自由に調整できる。今回、宇野澤先生は、難易度の高いシュナイダー膜を作り、受講者にチャレンジングなケースを用意した。

宇野澤先生の実際の症例を元にした講義内容は、教科書や論文だけでは知りえない「ちょっとしたコツ」が織り交ぜてあり、経験の豊富さが伺えた。また、3D動画を用いて動脈の位置を立体的にイメージできるような構成となっており、オリジナリティあふれるものであると感じた。切開線のデザイン、ウィンドウデザイン等も画像と動画を駆使した構成となっており、受講者からも「わかりやすい」と好評であった。

事前に確認できることが増え、より正確性の高い手術が可能に

前半の講義のあとはXRの体験である。Holoeyes株式会社のXR技術を⽤いてサイナスの解剖(自然孔、動脈、上顎洞隔壁)を確認しながら、仮想空間内でインプラント埋⼊のポジショニングをディスカッションした。

▲XRの体験の様子

そもそもXRとは、今話題のAR (Augmented Reality、拡張現実)、VR (Virtual Reality、仮想現実)、そしてMR (Mixed Reality、複合現実)等を総称する言葉である。口腔内スキャンやCTのデータを転送し、実際の口腔内の状況を立体的に可視化できる。XRというとゲームを思い浮かべるかもしれないが、現在、医療現場では教育や研究目的のほか、実際の手術に使用されているという。

Holoeyes株式会社 代表取締役の谷口氏によると、「現在約80の病院に導入されています。主に整形外科、脳神経外科等で使用されることが多いです。今回は歯科インプラント分野での試みとなりました。」とのことだ。全身の複雑な血管の走行、骨の変形具合等を立体的に可視化することにより、血管分岐部の角度や太さ、大きな動脈までの距離などをリアルに数値化することも可能である。これによって手術前に確認できることが増え、事前のシミュレーションに役立つという。2次元の平面上でみているだけではここまでの理解はできないだろう。
他にも、手術時間や使用薬剤の予測がつく、より正確性の高い手術が期待できる、アシスタント学習にもなるといったメリットがありそうだ。

担当記者もXRを試させてもらい、症例の口腔内を体験させてもらったが、今まで見えなかった上顎大臼歯の根分岐部付近や歯槽骨の状態などが目の前で見られることに興奮した。日常の臨床でそれらに触れている歯科医師にとって、この体験は大きな収穫となったにちがいない。
「歯科領域ではインプラント埋入や口腔外科領域での顎変形症などで使用されています。術前のトレーニングおよび術中の確認にも応用できるため、活用の範囲は広いと考えています。」(谷口氏)

対面セミナーのメリットを最大限に活用

午後の実習はほぼマンツーマンの状態で、3D Printing Modelを使用しながら切開、開窓、シュナイダー膜の挙上、骨補填材の充填、といった一連の流れを行っていった。午前中にXRで見たイメージを持ちつつ実習に入れるため、より解剖学を理解し実習ができるようだった。宇野澤先生より実際のオペでのエピソードや注意点が教示され、明日からの臨床に活かせるのではないかと感じた。
また、受講生から受けた質問はその場で解決されていた。シュナイダー膜の柔らかさの感覚や機械を使用しての力のかけ方、各種判断の目安など、対面でその場で3D Printing Modelを手に取り伝えられることは尽きない。やはりオンラインセミナーにはない、対面セミナーのメリットを実感した。

▲ハンズオンの様子

今後に期待!歯科界のデジタル分野の成長とは

活発に意見交換や質疑応答が行われ、セミナーは大盛況に終わった。参加した先生方からは

「すごくおもしろかったです。今後バーチャルが普及すると聞いて参加しました。今後開業も視野に入れているので、そちらの面でも大変参考になりました。」
「解剖学的なところが立体的にわかりやすく理解できました。」
「今後はデジタルの時代ですし、歯科分野、特に日本はそちらの分野が後進国かなと感じています。新しい手法を取り入れることにより、治療のクオリティが上がることも大事ですが、患者さんに良い情報が発信できることは経営にも影響すると思っています。新しいことに挑戦していくのも良いのではないでしょうか。また、臨床と紐づけて有効な使い方ができれば導入も検討したいですね。私は歯周病専門医なので、根分岐部病変などにも応用したいと思いました。また、歯科衛生士にもトレーニングとして触れさせたいです。」

といった感想があり、満足度は高かったようだ。

宇野澤先生は以下のように話した。「CT、マイクロ、CAD/CAMという『開業時の3種の神器』に加え、このデジタル分野は新たな強みとなると思います。XRは手術だけの使用法ではなく、患者様へ説明するツールとしても非常に有効だと思っています。3D Printing Modelは症例のCTデータを送っていただければ全国どこのクリニックから、または海外からでも作製が可能です。ハンズオンセミナーで得たことをぜひご自身のクリニックや患者様へ活かしてください。」

今後の展望として、「今回だけで終わりではなく、オンラインでもこのセミナーは可能だと思っています。機材もモデルもあらかじめ送っておき、受講する先生方の実際の勤務場所でできることが重要だと思っているので、そういったことを展開していきたいですね。今回は、ハンズオンは初めてだったので、準備等々含めいろいろ大変でした。今回の課題を次につなげていきたいと思います。」

歯科界の未来はデジタル化が握っていると言っても過言ではないかもしれない。

【共同開催及び協力体制】
・Holoeyes株式会社:Holoeyes XRサービスの提供
・ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社:練習⽤バーとインプラント体の提供
・コアフロント株式会社:ピエゾの貸与,会場提供
・Live Box Dent:症例データおよび講義内容⽀援
・株式会社OKABE:シュナイダー膜剥離のキュレット
・Dental Prediction Co., Ltd.:第3世代3D printing模型,演者,アシスタント

【ご経歴】
宇野澤 元春(株式会社Dental Prediction)
歯科医師(D.D.S) 医学博士(Ph.D)

千葉大学医学部大学院で口腔癌遺伝子の研究に従事した後、ニューヨーク大学歯学部Advanced Program in Implant Dentistryに入学。在学中に同大学歯学部卒後研修同時通訳や海外学会・NYU School Researchで多数のAwardを受賞。同大学歯学部修了時、Outstanding Student Award(Class President)を受賞。
帰国後2020年 株式会社Dental Predictionを設立。3D Printing Model事業を展開中。

2009年 日本大学松戸歯学部卒業
2009-2011年 千葉大学医学部付属病院 口腔外科 臨床研修医
2015年 千葉大学大学院 医学薬学府 臨床分子生物学 医学博士程 修了
2015-2016年 医療法人財団みさき会 たむら記念病院 出向
2017-2019年 ニューヨーク大学歯学部
Advanced Program in Implant Dentistry Resident Class President
2020年6月 株式会社Dental Prediction設立 (CEO)

【主な所属学会、資格】
・ICOI Implant指導医・認定医
・Live Box Dent Guest Surgeon
・Nobel Biocare Japan Ambassador
・New York大学卒後短期研修プログラム 同時通訳 逐次通訳
・日本口腔外科認定医
・Asian Association of Oral and Maxillofacial surgeons (AAOMS)
・International Congress of Oral Implantology(ICOI)
・Member of Academy of Osseointegration(AO)
・日本癌学会
・日本口腔外科学会

【取材協力】
Holoeyes株式会社
https://holoeyes.jp/

Dental Prediction Co., Ltd.
https://www.3d-dentalprediction.com/

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