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承認は?流通は?徹底解説「アビガン」
2020.04.10
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し、治療法の確立が急がれる。国内外で既存薬のドラッグリポジショニングの試みが進められるなか、特に注目を集めているのが、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン(一般名:ファビピラビル)」。2月29日の内閣総理大臣記者会見でも、観察研究としての投与開始が発表されていた薬剤だ。今月7日には、現在の3倍量の200万人分の備蓄拡大を目指す方針が明らかとなった。
備蓄用薬剤を転用へ
ヒトへの投与実績がある既存の薬剤であれば、安全性の確認が取れており、新薬をゼロから開発する場合と比較して、準備期間の大幅な短縮が見込める。アビガンはもともと富士フイルム富山化学(旧富山化学工業)が開発、2014年に”条件付き”の承認を受けた抗インフルエンザウイルス薬。タミフルなど既存の薬剤が効かない新型インフルエンザ流行に備えて国内で備蓄されているため、一般には流通しておらず、薬価も設定されていない。
アビガンは複製を阻害する
では、なぜ今アビガンに期待が寄せられているのか。ポイントはその作用機序にある。ウイルスは自己増殖ができない。宿主の細胞に入り込みRNAを放出、そのRNAが細胞内で複製され、複製されたものが細胞外へと放出(遊離)されることで増殖していく。
タミフルやリレンザが遊離を抑えるのに対し、アビガンは複製を抑える「RNAポリメラーゼ阻害薬」。インフルエンザウイルスと、今回の新型コロナウイルスはどちらも「RNAウイルス」であり、同様の増殖プロセスをたどるとの考えから、神奈川県をはじめとした各方面からアビガン使用提言がなされていた。
さらに3月17日には中国科学技術省が中国国内での臨床研究の結果を発表、アビガンの新型コロナウイルスによる肺炎などへの有効性を認め、政府の治療方針に採用する考えを明らかにしていた。
臨床第Ⅲ相試験スタート、そのデザインは
国内でもアビガンは、富士フイルム富山化学による臨床第Ⅲ相試験が開始された。この臨床試験第Ⅲ相は、20歳から74歳までの非重篤な肺炎を合併した感染者を対象とした単盲検ランダム化多施設共同比較試験。被験者をアビガン投与群とプラセボ群に振り分け、28日間の観察期間を設ける。
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