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感染者が急回復 新型コロナ治療に期待のレムデシビル
2020.04.17
新型コロナウイルス治療薬としての効果が期待されている、米ギリアド・サイエンシズ社開発の抗ウイルス薬「レムデシビル」。レムデシビルの投与を受けている患者グループに、発熱や呼吸器症状の急速な回復がみられたと米医療関連ニュースサイトSTATが報じている。
ギリアド社は複数施設での治験を行っていた。実施施設のひとつであるシカゴ大学では、重度患者113名を含む125名にレムデシビルを毎日投与した結果、一週間以内にほぼすべての患者の症状が、退院できるまでに改善された。死亡したのは2名だった。
レムデシビルは、もともとエボラ出血熱に対しての試験が行われていた薬。2月時点で、すでに中国や日本でコロナ感染者への試験的な投与が始まっており、中国視察を行ったWHO(世界保健機構)担当者が「現時点で本当に治療効果があるとみられる薬」と発言したことでも、注目を集めていた。日経新聞の記事によると、作用機序に関しての詳細は明らかになっていないものの、レムデシビルがウイルスのRNAポリメラーゼを阻害することなどがこれまでの研究で報告されている。ウイルスの複製を抑制するという点はアビガンとも共通するが、剤形は異なり、点滴投与となる。
ギリアド・サイエンシズ日本法人への問い合わせでコメントは得られなかったが、レムデシビルは国内でも14日から治験が始まっている。プレスリリースでは、治験実施施設の1つである横浜市立市民病院 感染症内科の立川夏夫医師が「臨床試験でレムデシビルの効果を明確にすることは、新型コロナウイルス感染症対策において最も重要な研究の1つ」と述べている。
今回良好な結果が得られたアメリカでの治験は人道的使用であり、比較対象群が設定されていない。この結果のみではレムデシビルの有効性を述べることはむずかしく、現在並行して行われているランダム化プラセボ対象比較試験の結果が待たれる。なお、現在レムデシビルはすべての国において、いずれの疾患に対しての承認もうけていない。
【参照】
・ギリアド・サイエンシズ『COVID-19 治療薬として開発中の remdesivir の 第 III 相臨床試験を開始』
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