新連載!第1回【本多 一貴 弁護士】インターネットで発信したいとお考えの先生方へ ークリニックを安心して魅せるためにー
2022.05.02
自費研online新連載!!
弁護士の本多一貴先生のご登場です!
「Twitter、Instagramを始めてみたけど、事実無根のことを投稿されている。」、「Google口コミになにやら変なことが書かれているがどうしたものか…。」、SNSでご自分のクリニックの誹謗中傷を見つけた時に、こんな間違いをしていませんか?
●どうせネットの書き込みだし、たいしたことはないだろうと放っておく
●投稿者を刺激するのを恐れて、法的措置をためらう
●なんてことを言うんだと思い、投稿者に反論する
本連載では、「失敗しない、クリニック誹謗中傷対策のはじめの一歩」をテーマに、インターネットの誹謗中傷から、いかにクリニックの信用及びそこで働く方々を守るかをお伝えします。
「たかがネットの口コミだし、人の噂も七十五日だろう」と思って、口コミを放置した結果…
「このGoogle口コミ、当院について根も葉もないことを書いている。」、「Twitterで、当院の特定従業員のことを、度を超えて侮蔑している投稿がある。」とお悩みの先生方へ。ネットの口コミだと侮ってはいけません。
誹謗中傷を発見した時点で、速やかに法的手続に則り解決を図ることが、先生のクリニックのみならず、ご自身と一緒に働く従業員の方を守ることに繋がります。
というのも、総務省の統計によれば、2020(令和2)年の時点で、以下の結果が示されています。
【SNS等を見る時間について】
・全年代では、平日は「メールを読む・書く」が40.8分、休日は「動画投稿・共有サービスを見る」が58.0分で最も長い。
・ 年代別に見ると、休日の10代の「動画投稿・共有サービスを見る」、休日の20代の「ソーシャルメディアを見る・書く」及び「動画投稿・共有サービスを見る」について、平均利用時間がいずれも100分を超過している。
【利用しているSNSについて】
・「Facebook」の利用率は、40代及び60代を除く各年代で減少し、10代では20%を下回り、各年代の中で最も低い利用率であった。
・一方、「Instagram」の利用率は、全年代では一貫して増加しており、今回調査では「Twitter」に並び、「LINE」に次ぐ利用率であった。
※令和2年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 令和3年8月総務省情報通信政策研究所 より引用
※令和2年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 令和3年8月総務省情報通信政策研究所 より引用
すなわち、日本国民の大多数が、日常の少なくない時間を、SNSに限らず、なんらかの形でインターネット閲覧に使っている状況になります。また、検索エンジンを用いて、自分の住所と自覚症状でキーワード検索をすれば、老若男女問わず誰もが行きたい病院を簡単に選ぶことができます。そうだとすれば、今や日本人にとって、インターネットの口コミサイト及びTwitter、Instagram等のSNSは、どこのクリニックを選ぶ際の重要な参考資料になっていると考えるのが自然です。
実際、私も通院する時には、グーグル口コミで自宅の住所と、かかりたい診療科名を入力して診療を受ける医院を選んでいます。そして、余り評判の芳しくない口コミが多い医院はどうしても抵抗感が起きてしまい、避けてしまいます。
以上のように、インターネットで飛び交う情報は、今や日本人にとって国内を駆け巡る電子版回覧板のようなものであり、その影響力は計り知れません。そして、その回覧板に書かれた誹謗中傷は、クリニックそのものだけでなく、そこで働くみなさんにも少なくない被害を及ぼします。
そこで、誹謗中傷に対して毅然と立ち向かい、投稿者に然るべき法的措置を執ることで今後の誹謗中傷を未然に防ぐ必要があるのです。
誹謗中傷を見つけても、反論はまだやらないでください
前記の通り、インターネットの口コミサイト等で、ご自身のクリニックに対する事実無根の書き込みや、従業員の方々に対する誹謗中傷を見つけても、その場で反射的に反論することは決して望ましいことではありません。
法的措置の対象となるレベルの誹謗中傷を行う投稿者は、相手方が反応すると面白がり、かえって、誹謗中傷を過激化・拡散する傾向にあります。
たとえば、あるクリニックに対して誹謗中傷をしている投稿者と、そのクリニックの医師がSNS上で言い争いになってしまった場合、その医師のクリニックの診療を検討している方々の心証は決してよくありません。
そこで、先生方には、誹謗中傷を発見してもすぐに相手方に対して直接反論するのは避けるのが賢明です。するとしても、例えば、投稿内容が、人体実験を行っている等、明らかに事実に反する場合、まずはクリニックのホームページや自身のSNSにおいて、そのような事実はないと宣言するに留めるべきです。その上で、法的措置に向けて動くのが適切な行動だと考えます。
なぜ、迅速な誹謗中傷対策がクリニックの労働環境を良好に保つのか?
迅速な誹謗中傷対策は、クリニック自体のみならず、その労働環境を良好に保ち、適切な医療サービスを患者さんに提供することが可能になります。
なぜなら、前記の通り、誹謗中傷は、一次的にはクリニック自身に対して向けられることが多いです。しかし、二次的に、その矛先がそこで勤務している特定の医師や看護師等に向けられる場合が少なくありません。
たとえば「AクリニックのBっていう看護師が、勝手に医療行為をしている」と口コミサイトに書き込みがあった場合、Bさんが強い精神的ストレスを感じるのは想像に難くありません。
ただでさえ、美容看護師は人手が足りなく、離職しやすい現状があります。そこに追い打ちをかけるかのように個人をターゲットにした誹謗中傷がなされた場合、看護師の辞職が相次ぐという事態も考えられます。また、書き込み自体が内部の人間によるものを疑わせるケースもままあり、職場で互いに疑心暗鬼になるという事態も考えられますし、私もそのような事案を担当したことがあります。
こうしたことから、迅速な誹謗中傷対策は、誹謗中傷の根元を特定して、適切な措置を施して、職場環境を良好な状態に保つことが可能にします。
どのようにして、誹謗中傷が解決するのか
今後の連載においては、私自身が担当した案件についての経験もふまえて、クリニック及びその関係者の皆様に向けられる誹謗中傷にどのように対処すればいいのかお伝えします。
「発信者情報開示請求…?聞いたことはあるけど、なにがなにやら…。」、「賠償請求と刑事告訴ってどうなっているの?」と思われている先生方へ。
上記手続きは、決して敷居の高いものではありません。弁護士に依頼して、然るべき段階を踏めば、発信者を特定して、相手方に民事上の賠償請求のみならず、刑事告訴をすることも可能になります。
そして、このような処置をしたことをクリニックのホームページに記載することで「私たちは、決して誹謗中傷に屈することはない。」というスタンスを明確にすることができます。こうすることで、他者も安易に誹謗中傷をすることを躊躇し、後発の誹謗中傷を未然に防ぐことへと繋がります。
ただ、次回連載までの間に誹謗中傷がされたらとお思いの先生もおられるかと思います。ですので、文章の終わりに、一先ず絶対守って頂きたいことをお伝えします。それは、「誹謗中傷は、その投稿日から1カ月以内に速やかに動くべし。」というものです。
それでは、今回はここまでにさせて頂きたいと思います。
弁護士 本多 一貴(ほんだ かずたか)先生
【学歴】
東京大学法学部
司法試験予備試験合格
‐‐‐
昭和63年茨城県生まれ。
大学時代、授業を担当していた大学の先輩弁護士の何気ない勧めで、国家公務員から弁護士志望に。現在の事務所にて初めて触れた発信者情報開示請求に携わるうちに、インターネットの誹謗中傷及びレピュテーションマネジメントに興味を抱く。現在はTwitter、Instagram、グーグル口コミ及びその他掲示板等の発信者情報開示請求及び削除請求に関与。インターネット問題のほか、労働事件及び一般民事事件(貸金返還請求や委任契約に基づく報酬支払請求等)も取り扱う。
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