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医療人のための法律講座 「言った言わない」水掛け論を防ぐためにできること

医療人のための法律講座 「言った言わない」水掛け論を防ぐためにできること

2020.02.10

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 近頃、いくつかの自費診療を行っている医療機関から同じような相談を受けています。典型的なトラブルなのですが、受けた治療に満足がいかないという理由で、患者さんから治療費の返還を求められる事案です。
 医療は、結果を保証して行うものではありませんから、患者さんの主張は、基本的に法律的な根拠に欠けるものなのですが、「最初から効果がないと教えてもらっていたら治療を受けなかった。」などとしつこく主張され、しまいには「弁護士に相談して裁判にする。」とまで言われるとそのストレスは大きいですし、対応に苦慮してしまいます。
 今日は、このようなことにならないためにはどうしたらよいか、また、もし裁判になったらどうなるかについて、実際の裁判の結果なども紹介しながらご説明したいと思います。
 まず、医師・歯科医師の皆様には、すこし怖い判決からご紹介させていただきます。

 大阪地方裁判所において、平成27年7月に出された判決です。
 この事例では、医療機関は、患者から採取した細胞を培養し、これを対象部位に注入することによって、皮膚のしわやたるみが改善されるとHPに記載し、医師も「この治療は、個人差が生じることなく高い効果が得られ、細胞の注入後はすぐに効果が実感できますよ」などと説明をして患者が施術をうけたものの、患者さんは「治療の効果がなかった」と主張して医療機関を訴えました。
 裁判所は、患者の主張を一部認め、医療機関に約200万円の損害賠償(治療費相当額約130万円、慰謝料30万円、弁護士費用30万円等。)の支払いを命じました。
 どうしてこのような結果となったのでしょうか。判決の内容は以下のとおりです。少し長いですが、医師が治療を行うに当たって負う義務についてうまくまとめられていますので、太字部を中心に目をとおしてみてください(太字部筆者)。

 医師は、患者に対して治療行為を実施するにあたっては、治療行為を受け入れるために合理的な自己決定をすることができるように、病名及び病状ないし病態の程度、治療行為の目的、内容、効果、合併症ないし副作用その他治療行為に付随して生じ得る危険の有無及びその程度、他の治療行為あるいは治療行為を受けないことの選択可能性、その場合の利害得失、治療行為を実施する場合としない場合の予後等について、適切な理解を得るのに必要かつ適切な情報を提供し、可能な限りわかりやすく説明すべき義務を負うものと解される。そのことは、美容科目を専門とする医師が、必ずしも病気の治療を目的としない美容診療を実施する場合においても異なるものではない。

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