すべては、安全で正しい美容医療の技術向上と普及のために 　 ～ 一般社団法人Aesthetic Medical Academy設立 ～

スペシャル対談　鎌倉 達郎 先生✖️今泉 明子 先生

急成長を続ける美容医療において、人材の育成の教育システムの確立は喫緊の課題です。そんな現状に立ち上がったのがJSAS理事長の鎌倉達郎先生と今泉スキンクリニックの院長今泉明子先生です。「安全で正しい美容医療の技術向上と普及」「満足度の高い美容医療治療の実践」を目的に専門育成機関「一般社団法人Aesthetic Medical Academy」（AMA）を設立しました。団体設立の経緯から美容医療業界の現状、そして今後の展望についてお二人にお話を伺いました。

安心安全な医療の提供と次世代の育成のために設立した育成機関

ーーー「一般社団法人Aesthetic Medical Academy」設立の経緯をお聞かせください。
今泉 明子 先生（以下、今泉）
2010年から注入指導をしているのですが、業界が活発になったことをうれしく思う反面、有害事象の相談を受けることが年々増えてきました。私で解決できないような相談が増えてくるにつれ、正しい知識を持ちきれていない医師が一定数いることにジレンマを感じていたんです。安全性があって、かつ再現性があり、一般の方にも安心して受けていただけるような医療を提供することが一番大切だということにたどり着き、鎌倉先生が美容外科学会（JSAS）の理事長の就任されたタイミングで人材育成機関設立についてご相談させていただきました。

鎌倉 達郎 先生（以下、鎌倉）
JSASの理事長になる以前から、この業界はできる先生も多いのですが、一方で入ってくる若手の先生たちすべてを十分に育成する場所がないことを感じていました。本来はクリニックが責任を持って育成を行うのが理想ですが、それが叶わないこともありますので、リスクマネジメントを含めた人材育成できる仕組みが必要だと考えていたところ、今泉先生から思いを聞いて、私の思いとマッチしたため会の設立に至りました。

ーーー今の美容医療業界からどんなことを感じ、育成に着目したのですか？
今泉
安全の担保は言うまでもありませんが、一部の医師の技量についても思うことがありました。例えば、「ほうれい線を改善したい」という要望に対して、エキスパートの先生なら、それぞれ違うその人の顔に合わせてアセスメントしてオーダーメイドとかカスタマイズができます。ただ、そうでない先生は、ほうれい線に注入するだけで終わることがあります。それは医師としてというよりも、顔を作っていく仕事をする人間として、カスタマイズできるだけの技量は必要だと感じます。

鎌倉
ヒアルロン酸注入一つをとっても、いろいろなことを考えながら注入しなければいけません。そこを手取り足取り、本当に細かく教えてくれるところがないということは多くの先生が危惧しているところです。

今泉
また、日本では厚生労働省が承認していない未承認品も輸入して使うことできますが、それぞれの薬剤の違いをしっかりとわかっていないまま使用するのも怖いことですね。

鎌倉
本当にそうです。エキスパートの先生のようにその違いや安全性が分かった上で使用するのならばいいのですが、若い先生だと違いや使い分け方がしっかりとわかっていないこともあるので、そこまで深く踏み込んだ教育が必要です。

ーーー美容医療業界の現状や問題点を教えてください。
今泉
一番は卒業したら外科の先生以外は、基本的に解剖を見る機会がないことです。また、注入に特化した解剖自体はありません。注入治療は、患者さんは割と気軽に受けていただいていますが、実は奥が深いものです。注入治療を重ねていくにつれ医師側は新たな疑問出てくると思いますので、もう一度解剖を学ぶ機会を提供できたらいいと思っています。

鎌倉
注入することで、どういう風にそれぞれの組織に影響を与えているのかは、注入する人であればぜひ見ておいた方がいいと思います。解剖は実技を重ねた後に再度学ぶとより理解が深まるということもあります。美容医療はかなり敷居が低くなり、多くの人が受けるようになってきました。だからこそ安全性は担保されないといけませんので、そういう意味でもしっかり学ぶことが必要だと思います。