書評:「安倍政権の医療・社会保障改革」二木立 勁草書房
2020.11.09
憲政史上最長を誇った第2次安倍政権は、どのような医療政策を企図していたのだろうか?
当時の予測をもとに、この7年8ヶ月を振り返る。
2020年9月16日に突然幕を閉じた第二次安倍政権。
専門医制度改革や医学部新設、オンライン診療に代表される規制改革など、政権がこれまでに行ったさまざまな政策の評価が定まるのは、もう数年ほど後になるだろう。
この7年8ヶ月の在任期間のうち、医療業界で最も激しい騒動につながった出来事は、2011年から本格化したTPPをめぐる議論だろう。
当時、雑誌には「TPPに日本の医療が壊される」「株式会社が医療参入することで営利化が加速」「貧富差による健康格差社会が到来する」といった、皆保険制度の崩壊を予測する特集が相次いで組まれた。
日本医師会など主要四団体は軒並みTPPに反対の論陣を張り、開業医たちは激しい競争原理にさらされるのではないかと戦々恐々としていた。
結果的にアメリカ側が「日本の医療に民営化を求めるものではない」と明言したことで議論は収束していったが、このとき指摘された多くの課題が解決されたわけではない。
本書は、そうした議論が激しく戦わされていた2013年に「これから来る第二次安倍政権がどのような医療政策を行うか?」を予測分析したものである。
著者は医療経済・政策を専門とする前日本福祉大学学長の二木 立 氏。
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