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アメリカ医療機器業界の闇 NETFLIX映画『両刃の先進医療』評
2020.10.30
この医療機器は日本国内では未承認だけど、FDAで認可されているから安心———。
自費医療を扱う業界にいると、しばしばそういった声を耳にする。
アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)、通称FDAは、アメリカ合衆国の保健福祉省に属する政府機関で、食や医療の安全を守ることを責務としている。
日本でいうところの厚労省のような機能を持っているというとイメージしやすく、食品や化粧品、さらには医薬品、医療機器について、その許可や取締りなどを行っている機関である。新しく開発された医薬品や医療機器は、FDAによる調査を受け、その効果や安全性が認められると、晴れてアメリカ国内では承認品として扱われる。
このFDAの承認制度の暗部にメスを入れたのが、NETFLIX発のドキュメンタリー映画『両刃の先進医療』である。
FDA承認済みの医療機器のはずなのに…
映画では、4つの製品に関する健康被害が取り上げられている。
子宮内避妊具「essure®」、コバルトという金属から作られた「人工股関節」、ジョンソン&ジョンソン社製の「メッシュ」、そして手術支援ロボットの「ダ・ヴィンチ」だ。
画面には、これらの製品によって健康被害を受けた患者たちの悲痛な訴えが、次々と映し出されていく。
essure®を子宮内に入れたことによる健康被害で日常生活がままならなくなり、働き口を失ったシングルマザーが貧困に直面する様や、人工股関節を入れたことにより神経衰弱や錯乱状態に陥り、認知症と診断されてしまう患者などが紹介される。
中でも衝撃的なのが、ダ・ヴィンチによる子宮摘出術を受けた女性たちの証言だ。彼女たちは、洗濯物を干しているとき、トイレに行ったとき、ごく普通の生活を送っていたら、突然手術跡から内臓が出てきてしまったというのである。大腸が90㎝も飛び出た状態で病院に運ばれたという女性の証言には、思わず血の気が引いてしまう。
これらの製品は、いずれもFDAによって承認を受けた医療機器であった。
ではなぜそういった製品で、ここまで問題が起きているのだろうか。
この映画では、『510(K)』という制度に問題があると指摘している。
アメリカ医療機器業界の闇 『510(K)』制度
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