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コロナ治療薬への期待 レムデシビル国内承認へ
2020.05.06
新型コロナウイルスの治療薬として注目を集めていた『レムデシビル』について、米食品医薬品局(FDA)は現地時間5月1日に重症の新型コロナウイルス感染症入院患者への緊急使用を認めた。これを受け、ギリアド・サイエンシズは5月4日に国内で承認申請をした。安倍首相は申請があったことを明らかにした上で「承認手続きを進める」としており、早ければ1週間で承認される見通しとなる。
通常の申請では承認までの期間が1年程度かかるが、特例承認を活用することで、審査期間を短縮することが可能になる。特例承認制度は以下のようないくつかの条件を満たすことが必要となる。
①健康被害が甚大である、蔓延の可能性があるなど、緊急の対応が必要であること
②特例承認対象の新薬が、日本と同等の審査水準を持った国で承認されていること
FDA承認の背景には、米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の主導する「ACTT」試験がある。1063人を対象に、プラセボを対照に有用性が検討されていたが、現地時間4月29日に発表された同剤の予備的解析では、新型コロナウイルスによる肺炎で入院した患者の回復までの期間がプラセボに比べ31%有意に速かったことが報告されている。
レムデシビルの投与対象は侵襲的人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする患者には10日間投与、そのような処置を必要としない患者には5日間投与を推奨している。5日間投与で臨床状態の改善が得られない場合は、最大で5日間延長(総投与期間:10日間)をしてもよいとしている。
なお、今回の緊急使用許可はFDAによる正式承認とは異なり、エビデンスが確立されるまでの間の一時的なものとなることから、ギリアド社からも『緊急時に医薬品を提供する仕組み』として説明をしている。今後もさらなる臨床試験で有効性と安全性の検討が必要となる。
【参照】
ギリアド・サイエンシズ 米国食品医薬品局(FDA)より、開発中の抗ウイルス薬remdesivirのCOVID-19治療薬としての緊急時使用許可を取得
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