進化する韓国のプチ整形技術 ~リフトアップの代表格“スレッドリフト”の歩み~
2019.12.12
近年日本でもますます身近になってきているプチ整形。手軽で安価、さらには結果も期待できることから、多くの美容クリニックで代表的なメニューとして取り入れられている。
そもそもプチ整形とは、“メスを使わず、ヒアルロン酸注射やボツリヌストキシン注射などの比較的手軽に行うことができる施術”を指すことが多いが、多くの人はプチ整形から始まり、さらに満足する結果を求めて美容整形手術に挑むことが多いのではないだろうか。人々の美への追及はとどまることを知らないが、それと同時に美容整形の技術の発展にも目を見張るものがある。
プチ整形を専門的に学ぶ“大韓肥満美容体形学会”
2019年10月20日、韓国・ソウルで開かれた大韓肥満美容体形学会(学会長:コ・ヘウォン 現La&Mi Clinic院長)は今年で25回目を迎えた。2001年に医療業界初の肥満治療研究会を発足後、2003年に正式に大韓肥満体形学会として創立したのち、名称を現在の大韓肥満美容体形学会に変更し、時代の流れに合わせて新しい分野をいち早く研究・導入する学会を目指し今に至るという。
今回の秋季学会では、“健康的な美しさ、ラインで完成する”をスローガンとし、現場で接する機会の多い症例(事象)や、最近のイシュー、今後の診療において大きな役割を果たすであろうフィラー・ボツリヌストキシン・スレッドリフトなどのいわゆるプチ整形と、注入や機器、スキンブースターを利用したリフトアップ及び体形管理を主なテーマとした。
何より驚いたのはその講義内容だ。用意された二つの会場は、それぞれ“フィラー”と“リフトアップ・体形”に分けられ、それぞれのテーマに関する講義を1日中聞くことができるのだ。多くの学会では幅広い分野の講義を取り入れているところが多く、このようにあるテーマに特化した講義を1日中聞くことができる学会は他ではあまり見られない。‘美容施術の基礎とセオリー(ライブ中継)’という副題の通り、講義はライブ中継と解剖学等の講義で構成されており、ライブ中継は実際の施術を見ながら施術者とリアルタイムで意見交換ができるようになっていたため、施術中も施術者と参加者との活発な意見交換が見られた。その場で実際にマイクを通して質問するだけではなく、アプリを通じてスマホでの質問もできるシステムを導入しており、参加者も議論に参加しやすい良い取り組みであると感じた。
ところで、講義を聞きながらふと感じた事がある。ドクター達はみな自身が使用している製品の紹介をするわけでもなく、技術の供覧と議論を主に進行していく。もちろんこちらからどこの製品かと聞けば答えてくれるが、特定製品の宣伝色が濃くない。こういった点もこの学会の大きな特徴の一つといえるだろう。
2020年3月の同学会では中国からの医師も150人程参加することが決定している。すべてに同時通訳がはいりLive中継も拡大、更に大きな学会の催しになることだろう。
スレッドリフトはどのように進化してきたのだろうか?
本学会のようにスレッドリフトについて詳しく学べる機会もそう多くはないだろう。スレッドリフトは、切開の必要がなく、特殊な糸の挿入でリフトアップ効果が望める施術だ。日本でも近年手軽なリフトアップ施術として人気を博しているが、そもそもどのように発展してきたのだろうか。
リフトアップ目的ではない、いわゆる埋線療法の歴史は古代ギリシャにまで遡る。ヒポクラテスが創傷治癒のために羊毛を使用したのが始まりと言われており、その後、1970年代に中国では癲癇の治療のために羊の腸を皮内に埋め込む治療が行われていた。1990年代に入るとその適用範囲は拡大し、喘息や鼻炎、椎間板ヘルニア、シワ改善、精力強化、チック症などの改善に用いられてきた。その後、小切開を伴う縫合糸を利用したリフトアップ施術が行われたのを皮切りに、縫合以外で糸を使用したリフトアップ施術の研究開発が本格化し始めた。ロシアで開発されたAPTOS糸が、非切開で突起のある糸を挿入し、純粋に組織を引き上げる為に開発された初めての糸であることは有名な話だ。2000年代に入ると韓国・ロシア・イタリアを中心に製品の開発が盛んになり、スレッドリフトが広く知られるようになってきた。したがって、スレッドリフトの経験が長い医師でも20数年と言われており、今後一層の発展が期待される分野である。
素材の多様化とその特徴
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