掲載料で買える業績 日本医学会、ハゲタカ横行に注意呼びかけ
2019.04.15
オープンアクセスジャーナルの拡がりと共に、問題となっている“ハゲタカジャーナル”。
“ハゲタカジャーナル”とは、十分な審査を行わず研究成果を査読論文として掲載する、論文著者からの掲載料を目的とした媒体のことをいう。2018年には毎日新聞により、日本の主要大学所属の医師たちのなかに、ハゲタカジャーナル利用者がいるという事実が明らかとなった。こうした現状を受けて、日本医学会は3月8日、「悪徳雑誌への注意喚起について」という声明を発表した。医師や研究者に、ハゲタカジャーナルへの投稿を控えるよう求めたのだ。
◆ハゲタカジャーナルの増加は「学術雑誌への信頼を低下させる」
ハゲタカジャーナルの何がいけないのか。その前に、まずは査読論文について理解しておく必要がある。医師は日々の研究成果を論文にまとめ、出版またはジャーナルに掲載されることで初めて業績として認められる。書けばいいというものではない。ジャーナル掲載されるまでにはいくつかのプロセスがある。
論文をまとめ上げた医師はまず、その論文の内容に則していると思われるジャーナルへと投稿し、そこから査読審査が始まる。かかわるのは編集長、編集委員、査読者。編集長は届いた論文の内容を確認し、審査されるに値するかを判断、一定のレベルに達していなければこの時点で不採用となる。この審査を通過すると論文は編集委員へ。編集委員の審査を通過し、論文はようやく複数名の査読者のもとへとたどり着く。査読者は掲載にふさわしい成果か、仮定や論理の展開・結論は正しいものであるかなどを確認し、審査結果をレポートにする。レポートに対し論文著者は、必要があれば内容を修正し再提出。これらを繰り返し、考えられるすべての誤りを取り除き、最終的に編集長が問題ないと判断すれば晴れて掲載となる。再審査のなかで不採用になってしまう場合もある。
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