RFとHIFUの組み合わせで広がる眼瞼治療の選択肢ーー第69回日本形成外科学会総会・学術集会 wontech Japan共催ハンズオンセミナー開催レポート
2026.06.17
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2026年4月22日、第69回日本形成外科学会総会・学術集会の初日に、wontech Japan株式会社共催によるハンズオンセミナー「RFとHIFUを用いた眼瞼治療のイロハ」が開催されました。登壇したのは、まりもクリニック院長の牧野良彦先生。これまで外科的アプローチが中心となりやすかった眼瞼周囲の治療に対し、6.78MHzモノポーラRFとHIFUを組み合わせる新たな選択肢について、紹介されました。
セミナー開催の背景・目的
近年、フェイス領域のたるみ治療では、HIFUとRF(高周波)を組み合わせたコンビネーション治療が広く行われるようになってきました。一方で、目元の治療においては、現在も外科的アプローチが中心であり、こうした複数のエネルギーデバイスを組み合わせる考え方は、まだ十分に浸透しているとはいえません。その背景には、眼瞼周囲に使用できるデバイス自体が限られていることがあります。 そうした中で今回の講演では、デバイスを用いた新たな視点が語られました。同機にはRFのフェイス用チップに加え、目元専用のアイチップやペンタイプのHIFUハンドピースが用意されており、眼瞼周囲への応用を見据えた構成となっています。セミナー冒頭、牧野先生は参加者に対し、デバイスでの眼瞼治療をすでに実施しているかを挙手で確認しました。その結果、手を挙げた医師は数名にとどまり、眼瞼領域におけるRF・HIFU治療が、まだ広く知られていない現状が浮き彫りとなりました。こうした背景を踏まえ、本セミナーでは、外科手術の手前にある新たな選択肢として、RFとHIFUを眼瞼治療へどのように応用できるのかが解説されました。

技術的視点の整理・技術的考察
技術的視点の共有は、目の下の治療を中心に進められました。眼瞼領域でRFとHIFUを組み合わせるアプローチは、まだ多くの形成外科医にとって馴染みの薄い手法です。フェイス領域で培われてきた知見をそのまま目元に当てはめるのではなく、眼瞼周囲ならではの解剖学的特徴や安全性を踏まえ、治療設計を組み立て直す必要があります。牧野先生の説明では、そうした視点が随所に盛り込まれていました。
■「大きな変化を出す治療」ではなく「手術の手前を埋める治療」
牧野先生がまず強調したのは、機械治療と外科手術はまったく別の治療であるという前提です。RFのアイチップで到達する深度はおよそ1mmで、真皮層が主なターゲットになり、ペンHIFUは眼輪筋から眼窩隔膜までの層が主なターゲットになります。対象となるのは、下眼瞼の膨らみや皮膚の質感低下、軽度から中等度のたるみ、しわなどです。一方で、強い眼瞼下垂や明らかな皮膚弛緩を、機械治療だけで根本的に改善することは難しいと説明されました。 重要なのは、この治療を「大きな変化を出すための治療」ではなく、「外科手術の手前にあるフェーズを埋める治療」として捉えることです。いきなり手術に進むことに抵抗がある患者に対し、まずは低侵襲な治療を試し、満足できる場合は継続し、必要に応じて次の選択肢を検討する。こうした段階的な提案ができることが、眼瞼治療の選択肢を広げるうえで重要だといいます。
■目元ならではの「攻めすぎない判断」が安全性につながる
セミナーで繰り返し強調されたのが、眼球保護の重要性です。眼瞼周囲は眼球に近く、フェイス領域とは異なる慎重さが求められます。牧野先生は、海外では眼球保護が不十分だったことによる眼球損傷の報告があることにも触れ、施術時には眼球保護のためのアイコンタクトを使用する必要性を説明しました。ハンドピースの圧着具合も、フェイス領域とは感覚が異なります。下眼瞼ではある程度しっかり押し当てることが可能ですが、上眼瞼を強く押しすぎると眼球を圧迫してしまう恐れがあります。目元では、どこまで行うべきかを見極める「攻めすぎない判断」が、安全性に直結します。
■痛みを抑える設計と、フェイスとは逆転する照射順序
臨床面で注目を集めたのが、モノポーラRFに搭載された3つのモードの使い分けです。表層を狙うモード、中間層を狙うモード、深部に熱を届けるモードがあり、それぞれ冷却のかかり方が異なります。深部へ熱を届けるモードは、表面を冷やしながらアプローチすることができ、施術時の痛みを抑えやすい点が特徴です。アイチップで使用するのはこのモードのみです。これにスタンプ照射とスライディング照射を組み合わせることが、基本のプロトコルとして紹介されました。スタンプ照射は1点ずつ熱を加えながら効果の主軸を担い、スライディング照射はハンドピースを滑らせながら表層に熱を保持し、施術後の満足度をアップする役割があります。 HIFUには、ペンタイプの単一焦点型ハンドピースが使用されます。眼瞼周囲では主に1.5mmの深度を使用し、眼窩隔膜のタイトニングを狙います。3mmは脂肪層に届く深度ですが、牧野先生は「目的は脂肪溶解ではなく、あくまでタイトニングである」と強調しました。さらに興味深いのが、照射の順序です。フェイス領域では、HIFUを先に照射し、その後RFで仕上げる流れが一般的です。しかし眼瞼領域ではこれを逆転させ、RFを先に行い、最後にペンタイプHIFUで仕上げる方法が紹介されました。フェイス領域の手順をそのまま目元に持ち込むのではなく、眼瞼周囲の構造や安全性に合わせてプロトコルを最適化する姿勢が示されました。 
質疑応答ハイライト
Q1.ハンドピースを押し当てる強さは、どのように調節されていますか。
ー下まぶたに関しては、RFでもHIFUでも、それなりに押し当てても根本的には問題ありません。気をつけなければいけないのは上まぶたです。上はどうしても強く抑えきれないので、ある一定のところで止める必要があります。下は強く押しても眼球を圧迫する感覚までは至らないので、上ほど神経質になる必要はないと考えています。患者さんが「押さえすぎると痛い」と教えてくれるので、その感覚を覚えていくのが一番早いと思います。
Q2.フェイスではHIFUを先に照射するのに、目元ではRFを先にされている理由は何でしょうか。
ー正直なところ、どちらが先でも効果はほとんど変わらないと感じています。やりやすい順序で行っていただくのが一番です。フェイスの場合は、奥から攻めて表面で仕上げていくという感覚で行ってきた経緯があるだけで、目元についても効果に違いはないと思います。
Q3.緑内障の既往がある患者さんには、施術を控えたほうがよいのでしょうか。
ー高周波については、理論上はあまり心配しなくてよいと考えています。HIFUの眼窩内照射はこれまで禁忌とされてきましたが、これは焦点が眼球に当たる確率の問題だと捉えています。コンタクトで眼球を保護し、焦点が当たらないことが確認できていれば、10年以上やってきて問題が出た方は一人もいません。網膜剥離の既往なども現時点では制限していませんが、症例が積み重なるなかで判断が変わる可能性はあると思います。 
登壇医師コメント・牧野良彦先生ミニインタビュー
今回「RFとHIFUを用いた眼瞼治療」というテーマを取り上げられた背景を教えてください。
ー目元は本当に使えるデバイスが限られている領域で、だからこそ複数のエネルギーを組み合わせる発想が必要だと感じてきました。フェイスではコンビネーション治療が主流になってきましたが、目元はそこまで進んでいなかったんです。1台でRFとHIFUの両方を眼瞼に応用できる機器が登場したことで、ようやくフェイスと同じ発想を目元でも実現できるようになったと感じています。
患者さんに治療を提案するうえで、難しさを感じる点はどこにありますか。
ー大前提として、機械治療は手術とは違うものだとお伝えしてからスタートします。最近の患者さんは手術のダウンタイムに抵抗のある方がとても多く、目元はマスクでも隠せない場所なので腫れが許容できないという声もよく聞きます。ただ、機械治療という選択肢があること自体を知らない方がほとんどなんです。本来であれば段階を踏めたはずの方が、選択肢を知らないまま手術に進んでいる。そこを変えていく必要があると感じています。
今後、この治療の広がりについてはどのようにお考えですか。
ーフェイスがそうであったように、今後は目元でもデバイス治療が主流になっていくと考えています。「外科手術か無治療か」の二択ではなく、その間に位置づけられる選択肢を提示できること。そこに、患者さんの満足度と医師側の提案の幅を広げる鍵があると思います。 
まとめ・今後の展望
眼瞼領域のたるみや皮膚弛緩に対する治療は、これまで「外科手術を行うか、何もしないか」という限られた選択肢の中で語られることが少なくありませんでした。しかし、フェイス領域の治療が多様化してきたように、眼瞼領域においても、RFやHIFUを組み合わせた「手術の手前にある治療」を提示できる意義は大きいといえます。牧野先生がセミナーを通じて繰り返し示したのは、機械治療と外科手術のどちらが優れているかではなく、それぞれの長所と限界を理解したうえで、患者一人ひとりの希望や満足のゴールに合わせて使い分ける姿勢です。 ダウンタイムを抑えながら継続できる治療を、患者の主観的な満足を起点に設計していくこと。この考え方は、今後の眼瞼治療において重要な視点の一つになっていく可能性があります。RFとHIFUを眼瞼治療へ応用する取り組みは、まだ新しい領域です。しかし、患者に提示できる選択肢を広げるという意味で、その可能性は決して小さくありません。本セミナーは、眼瞼治療におけるRF・HIFU併用の考え方と実技のポイントを共有する、貴重な機会となりました。
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