形成外科を基盤とした 美容外科教育の新しいモデル ― 藤田医科大学 × ザ・プラス美容外科の 連携から見える未来 ―
2025.10.28
美容外科を志す医師の教育環境は、本来「形成外科を基盤とした二階建て構造」が理想とされながら、現場では体系的な教育機会が十分とはいえません。こうしたギャップに対し、藤田医科大学形成外科とザ・プラス美容外科は、大学の基礎教育と民間クリニックの臨床を連携させた独自の教育モデルを構築。形成外科で培う基礎技術と美容外科の実践を接続するこの取り組みは、日本の美容外科教育に新たな潮流を生み出そうとしています。今回は、藤田医科大学形成外科の奥本隆行教授、井上義一准教授に、連携の背景と教育理念、今後の展望を伺いました。
1.形成外科を基盤とした美容外科教育の重要性
―藤田医科大学とザ・プラス美容外科が〝連携に至った背景〞を教えてください。
奥本先生:
私たちが目指したのは、形成外科を基盤に据え、美容外科へと段階的に進む教育の道筋を実際の現場で機能させることです。日本には形成外科から美容外科へ進むという制度上の理想的な流れがありますが、現実には施設ごとの独自教育に頼るケースが多く、若手が正統な技術に段階的に触れられる機会が限られていました。そこで、形成外科の基礎訓練を経て美容外科を目指せる導線をつくるため、ザ・プラス美容外科と連携しました。同時に、この連携で私たちが提供したいのは、若手が自分に合った進路や学び方、働き方を柔軟に選べる〝新たな選択肢です。基礎技術を共通の土台とし、大学の体系的教育と民間の実地経験を組み合わせ、キャリアの節目ごとに最適な形を選べる環境を整えるとが、この連携の核心です。

井上先生:
私も奥本と同じく頭蓋顔面外科を専門としており、顔面領域の形成手術を多く経験してきました。形成外科と美容外科は目的こそ違いますが、解剖学的理解や操作技術の基礎は共通です。だからこそ、形成で基礎を築き、美容で応用するという連続性を前提に教育を設計できる相手として、ザ・プラス美容外科との連携に大きな意義を感じました。
―現在はどのような形で連携・取り組みを進めていますか。
井上先生:
藤田医科大学の医局員がザ・プラス美容外科に常勤医として勤務し、日常の診療の中で美容外科の手術見学や実習に継続的にアクセスできる仕組みを整えています。大学では保険診療を中心とした教育が主体ですが、民間クリニックと連携することで、美容外科の実践的な学びを日常的に取り入れられるようになりました。加えて、年1回以上の合同セミナーやライブサージェリーを実施しています。直近では講義に50〜60名、ライブには20名ほどが参加し、全国から応募が殺到して定員調整が必要になるほどの反響がありました。大学単独では難しい美容領域のライブ教育を、民間の現場と組むことで補完できているのが大きな特徴です。
―教育プログラムを進めるうえで、課題に感じる点はありますか。
奥本先生:
やはり制度面での制約が大きいと感じています。形成外科研修は定員管理や研修年限が厳格に定められているため、途中からの受け入れや短期間の参加は制度上難しいのが現状です。形成を経ずに美容医療へ進んだ医師が、後から基礎をしっかり学び直したいと考えても、現行制度では柔軟な受け入れ体制が整っていません。その一方で、美容外科の領域では、技術の正確な継承や教育体制の整備に対するニーズは年々高まっています。だからこそ、大学が担う基礎教育を軸に、民間側が補完的な教育プログラムを持ち、学び直しの機会や多様なステップを提供できる体制をつくることが、今後ますます重要になると考えています。

2.形成にも美容に通ずるエステティックマインド
―教育の中で「エステティックマインド」という理念が重要な役割を果たしていると伺いました。どのような考え方なのでしょうか。
奥本先生:
形成外科と美容外科の違いは目的であり、基礎技術は共通です。だからこそ、若いうちから審美的な視点=エステティックマインドを身につけることが重要です。形成外科での教育の中にこの視点を組み込むことで、将来、美容外科に進む医師はもちろん、再建外科に進む医師にとっても、機能と美(整容)の両立を意識した医療を実践できるようになります。私たちはこの理念を3年前の学会でもメインテーマとして掲げ、教育全体の根幹に据えてきました。
―その理念は、具体的にどのように教育へと組み込まれているのでしょうか。
奥本先生:
形成外科の教育課程の中で、単に術式を習得するだけでなく、仕上がりの形や美的バランスを意識することを早い段階から徹底しています。術前設計の際には「どのような形を目指すのか」「どこに美的なポイントを置くのか」といった議論を日常的に行い、機能と審美性の両立を前提とした思考を育てています。
井上先生:
症例検討会などでも、解剖学的な正確さに加えて、審美的な観点から意見を交わす機会を多く設けています。こうした取り組みを通じて、自然とエステティックマインドが根付く教育環境を整えています。参加者からは「美容的視点を意識できた」「術前設計の考え方が変わった」といった声が多く、症例検討では先輩との比較を通じて理解が深まり、「形成の視点が美容現場で役立った」という実感も寄せられています。
3.多様なキャリアを支える、新たな教育のかたち
―形成外科を経ていない美容医療従事者への教育やスキルアップについて、どのようにお考えですか。
奥本先生:
共立美容外科のスタンスには、他の美容クリニックと大きな違いがあると思っています。私達は昔から一般診療と同じようにドクターが患者様と向き合い、カウンセリングに時間をかけています。ドクターだけではなく看護師や受付スタッフ全員で患者様一人ひとりのケアを行っており、術後1〜2年経っても何かあれば対応します。私のポリシーは患者様ファーストとして、ドクターの能力に合わせて患者様を担当してもらうことです。
井上先生:
特に、自費診療領域に幅広い会員層を持つ自費研と連携することで、継続的な学びの機会を提供できる可能性を考えています。自費研には教育コンテンツの発信力と参加者ネットワークがあるとお聞きしてるので大学だけでは人材、資金的に難しい大規模なセミナーなどに関して、運営プラットフォームとして大きな可能性を感じています。さらに、自費研フェスティバルでは、大学・民間・プラットフォームが連携した3日間の特別セミナーを企画しています。パイロット的にはなりますが、形成外科の基礎と美容外科の実践をつなぐ教育モデルを体感いただける機会にしたいと考えています。
―ありがとうございました。ぜひ今後、連携を深めたいと考えています。

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