
2024 第1回日本美容内科学会総会開催 ≪後編≫
2025.03.06
午後からは「今日からはじめる美容医療〜外科、皮膚科、内科、それぞれの専門医が教える美容医療の基礎の基礎〜」と題して9名の各理事によるセッションがスタートしました。 前編はこちら>>
理事セッション 今日からはじめる美容医療 〜外科、皮膚科、内科、それぞれの専門医が教える美容医療の基礎の基礎〜
理事セッション最初の登壇者は、「ボトックス、ヒアルロン酸を使った美容医療の実際」をテーマに東京皮膚科・形成外科の総院長 池田欣生先生が登壇。ヒアルロン酸やボトックス注入の合併症を回避するためのコツや対応策をご紹介していただきました。また、池田先生が理事長を務める日本美容医師会は、実技を中心に勉強をし合う会であり初心者の会もあることから、これから始める方に登録を呼びかけました。 次に、グランプロクリニック銀座理事長 岩本麻奈先生。テーマは「睡眠と健康」について。自己回復力、健康寿命のためにも睡眠は重要であり、皮膚にとっても睡眠は美容治療と同等の効果が得られるのではないかと発言。岩本先生のクリニックでも柳沢先生のデバイスを使用して睡眠の脳波検査を実施し、それぞれに合った対応策を紹介しているとのことです。 斎藤クリニック院長 斎藤糧三先生は「美容医療におけるサプリメント、 注射・点滴療法のABC」をテーマに登壇。美容医療領域ではサプリ・点滴注射の使い方には大きく分けると2つだそう。内科的なアプローチ単体で美容の効果を出す使い方とレーザー治療などの美容治療の補助治療として効果を最大化するように使う方法をそれぞれ解説していただきました。 さかえクリニック院長 末武信宏先生は「美容医療における再生医療関連の治療法の現状〜その可能性と問題点〜」をテーマに登壇。青木先生同様に幹細胞培養上清液、エクソソームなど治療における安全性や有効性のエビデンス不足を指摘。同時に順天堂大学で末武先生たちが行っているニューロモデュレーションという迷走神経のアプローチの大きな可能性についてお話しいただきました。 銀座スキンクリニック院長 坪内利江子先生は、「美容皮膚科治療 ~シミ、しわ、たるみにどんな治療を行うのか〜」 をテーマにご登壇。シミについては診断の難しさと重要性を、しわはしわの種類と対応策、たるみについては、皮膚のみの診断にとどまらず解剖学から学ぶことの重要性を述べられました。 野本真由美スキンケアクリニック総院長 野本真由美先生は、「美容医療における東洋医学からのアプローチ」 についてご登壇。皮膚科専門医、東洋医学の専門医と抗加齢医学の専門医と並行して、介護認定審査員も務められている野本先生ならではの東洋医学的な視点で皮膚のお話を解説していただきました。 医療のコンサルタントも行っている医療法人 SMILE LAND BIANCA CLINIC理事長 堀田和亮先生は、「保健診療のクリニックが美容医療を取り入れる際の注意点」をテーマに登壇。堀田先生がコンサルで多く聞かれる内容をピックアップして、その対応策とともに解説。また、美容医療独特の患者様対応についても注目が集まりました。 ごきげんクリニック浜田山院長 前田陽子先生は、「美容医療におけるホルモン療法、ペプチド療法について」登壇。 とくにプレ更年期以降の女性、閉経後にホルモンを補充する効果について紹介していただきました。男性に対するホルモン療法のお話もありました。前田先生は無料でホルモン療法に対する勉強会を開催されているそうです。 最後に登壇された、医療法人千美会千春皮フ科クリニック院長 渡邊千春先生は「美容医療におけるプラセンタ 療法について」。プラセンタ治療の安全性、低コスト、汎用性を伝え、スキンケアやアンチエイジングにとどまらず予防学的応用も期待できると述べられました。日本プラセンタ医学会は年に2回開催されているそうです。
特別講演 抗加齢・美容医療における健康(自律神経・腸内環境)から学ぶリスク管理 〜守りの美学〜
総会を締めくくる最後の特別講演は、順天堂大学医学部病院管理学総合診療科教授 小林弘幸先生です。 小林先生は、依然無くならない医療事故について何十万件のデータからミスが生じる条件を分析。「余裕がない」「自信がない」「予想外のことが起きた」「体調が悪い」「環境が悪い」のいずれかの条件下で事故が起こっていたと述べ、それらを意識することができればミスの半分は防げるのでは、と対策について解説していただきました。 「環境を整える」については、治療する場所を病室ではなく環境が整った場所に移す。「自信がない」は、わからないことを聞きやすい現場にする。「予想外のことが起きた」は、急変した場合のシミュレーションを事前に予行練習しておく。「余裕がない」は、時間がない時など悪い流れに巻き込まれやすく、そんな時は無呼吸になっていることが多いことから意識的に「一対二で吐く息を長くする、全集中の呼吸を意識」が効果的とお話しされました。また、コロナ禍を経て多くの人のオキシトシンが減ってしまい、腸内環境の乱れが生じたことも懸念されていました。腸内環境を良くすることは、体調管理に欠かせないそうです。 加えて、今は医療従事者にとって倫理教育は必須で、「あなた=私」ではないことを意識する重要性述べられました。そのほか、医療行為の記録をつけておくこと、前医の先生の批判をしないこと、インフォームドコンセントのテクニックを磨く、カスターマーハラスメントの対策などさまざまな有益なアドバイスをいただきました。最後にリスクマネージメントは、「Don’t believe anybody」であると小林先生。とくに新しい医療や先進医療は守りを固めて初めて医療が成り立つと締めて講演は終了しました。
閉会
すべての登壇が終わり、最後は大会長の青木先生の閉会の挨拶です。その後の懇親会では、一転リラックスモードとなり、参加者同士交流しながらおいしいワインとともに1日の学びを振り返りかえりました。有意義な議論と成果を残して総会は盛況の中、閉幕しました。
ーーーー ◆一般社団法人日本美容内科学会とは◆ 従来からある美容外科、美容皮膚科による美容医療を補填・支持する役割を持つ美容内科という分野を明確にしつつ、本来、内科が大切にしてきたEBM(evidence based medicine)に基づく真に効果的で安全な美容内科医療を構築していくことを目的としています。そして、真に正しい美容内科医療が普及することのその先には、健康寿命の延伸という抗加齢医学の最終目標があるのです。 ※公式HPより引用 ▼一般社団法人日本美容内科学会HP https://jaim2023.com/
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