
2024 第1回日本美容内科学会総会開催 ≪前編≫
2025.03.05
2024年12月1日。東京ポートシティ竹芝にて、第1回日本美容内科学会総会が開催されました。美容医療の内科的アプローチをテーマに朝9時より1日にわたって、招待講演、特別講演、理事セッションと総勢17名の各分野のスペシャリストである医師、医学博士、研究者による登壇が行われました。約300名の参加者は、長丁場にも関わらず貴重な講演に最後まで意欲的な姿勢で臨まれました。朝から閉会の18時まで、総会の1日をレポートします。
本学会大会長である青木先生より開会の言葉
最初に、本学会大会長であり、理事長の青木晃先生よりご挨拶がありました。 「これまで美容外科を学術的に引っ張ってきた日本美容外科学会、日本美容皮膚科学会を補填する意味合いで昨年10月に発足したのが当学会です」 2001年日本抗加齢医学会がスタートして、アンチエイジング医学という新しい視点が取り込まれてきました。しかし、新しい分野であるため、内科的な学術基礎の不足があるのではないかと青木先生は懸念されています。青木先生が語る本学会のコンセプトは2つです。 「新しい美容医療の中に内科的な考え方を導入して、安心・安全な美容医療を内科の方からサポートすること。医師、歯科医師だけでなく、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士などコメディカルの方、美容のプロフェッショナルの方とともに、患者さん1人ひとりのライフスタイルに即した 美容内科医療を作りあげること」 より良い美容医療の未来を見据えた、日本美容内科学会総会の記念すべき、第1回目の開幕です。
会頭講演「なぜ、今、美容内科の学会が必要なのか」 〜GLP-1ダイエット、NMN点滴、エクソソーム点滴の問題点から考える〜
会頭講演は、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座教授 森下竜一先生を座長にお迎えして、再び青木先生が登壇。 「現在の美容医療には、内服や点滴治療など美容内科的な治療が増えています。いずれもメリットがある反面、短期間での効果は分かりづらい、未承認薬や適用外使用が多いことが現状の問題点です」と語りました。 とくに近年急増している幹細胞培養上清液、エクソソーム、糖尿病の治療薬であるGLP-1製剤の美容医療での使用方法の評価とそのエビデンスについて、内科の視点で見直す必要性を強調。NAD計測なしにアンチエイジング治療に安易にNMN点滴を勧める風潮に警笛を鳴らしました。エクソソームの点滴治療については、エクソソーム自体の真の役割が解明されていないこと、幹細胞培養上清液の中から取り出したエクソソームが機能するかについても証明しきれていないことから、静脈投与に関しては現時点で推奨できないとも述べられました。糖尿病治療薬であるGLP-1をダイエット治療で使用することには、その注意点、GLP-1ダイエットが向かない人の特徴も説明。適応外使用では、医薬品副作用被害の救済制度の対象外ではないことを患者さんに説明する重要性についても伝えられました。 その後、総会開催に協賛した28の企業が紹介され、招待講演がスタート。登壇されたのは、睡眠学の世界的権威である筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長 柳沢正史教授です。
「睡眠の謎に挑む:原理の追求から社会実装まで」
登壇では、米国心臓協会AHAが発表したLife’s Essential 8を紹介し、日本同様アメリカでも睡眠、食、運動が健康を支える要素とされていることをお話しされました。近年発表された「クラゲも眠る」ことについて書かれた論文にも触れ、脳を持たない生き物も眠ることについて、いかに睡眠が根源的なものであるかについて改めて強調。ほかにも鮮明な夢を見るレム睡眠は浅い眠りだと思われがちだけど、実は心身の健康のためにも非常に重要な時間であることも解説していただきました。 また、世界的に見て日本人の睡眠時間は相対的に短く、この30年短くなり続けているデータにも触れました。柳沢先生によると睡眠不足を含む良くない睡眠は、生活習慣病をはじめとした免疫の低下、メンタルの不調やメタボ、皮膚の加齢、認知症など頻度の高い疾患のリスクを上げる強固なエビデンスがあるとのことです。未だ睡眠の機能と制御メカニズムは謎の部分がありながらも、覚醒系を司る神経ペプチド「オレキシン」の発見を契機に展開している新しい睡眠学をもとに「覚醒」や「眠気」を促す行為を紹介していただきました。
睡眠を脳波で客観的に計測するデバイス
柳沢先生によると現在、日本人の4、5人に1人は睡眠の悩みを抱えているそうです。しかし、睡眠に特化した医師の絶対数は少なくカバーしきれないのが現状です。そこで柳沢先生は、株式会社S’UIMINを立ち上げ、睡眠を測定するウェアラブル脳波計測とクラウドAIによる 在宅睡眠測定サービスを開始。睡眠を計測することで、予想外に多い睡眠誤認や無呼吸症候群による睡眠不足の対策ができることを紹介。睡眠を計測したことで分かった無呼吸症候群とアルコールの関係、睡眠不足と健康指標の悪化、メタボとの関連など数々のデータはとても興味深く、質問が続くなど盛況の中、講演は終了しました。
豪華ケトジェニックなお弁当とランチョンセミナー
ランチョンセミナーの内容は、ロート製薬株式会社様協賛の「女性のWell-beingのための内科的美容医療」です。座長に近畿大学客員教授 山田秀和先生を迎え、まずは広尾レディースクリニック院長 宗田聡先生が登壇して「女性のヘルスケアとホルモン製剤」について解説。女性のライフスタイルの変化とともに、年代で特徴的な疾患を抱えるリスクが増えた現状を説明。その際の内科的治療として、代表的なホルモン製剤、ピルとホルモン補充療法について解説していただきました。 次に、ロート製薬株式会社基盤技術研究部の深田一剛様が「食品成分PQQの効果と期待」について登壇。PQQの持つ作用3つ、強い抗酸化力、エネルギー産生促進、ミトコンドリア新生についてお話しされました。女性のライフステージに応じた女性特有の疾患にPQQが持つ可能性を説明。 次に医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス女性ライフクリニック銀座・新宿伊勢丹理事長 対馬ルリ子先生が、「明日から使える卵巣老化対策 〜食品成分PQQの使用経験から〜」をテーマに登壇。対馬先生は、PQQが、卵巣の酸化ストレスを減少させ、エストロゲンを生み出し卵巣機能を改善させるのではと考えており、先生が行ったPQQ臨床のアンケート結果をもとに報告いただきました。 登壇の後のトークセッションでは安全性や副作用についての質問を受けランチョンセミナーは終了しました。 後編はこちら>> ーーーー ◆一般社団法人日本美容内科学会とは◆ 当学会は、従来からある美容外科、美容皮膚科による美容医療を補填・支持する役割を持つ美容内科という分野を明確にしつつ、本来、内科が大切にしてきたEBM(evidence based medicine)に基づく真に効果的で安全な美容内科医療を構築していくことを目的としています。そして、真に正しい美容内科医療が普及することのその先には、健康寿命の延伸という抗加齢医学の最終目標があるのです。 ※公式HPより引用 ▼一般社団法人日本美容内科学会HP https://jaim2023.com/
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