医局とクリニックで行う「美容医療教育提携」の魅力
2024.08.28
急激な進歩を続ける美容医療。その発展とともに美容医療へ進む医師は増加し、医療の質のばらつきが危惧されています。近年では他院でした施術の修正依頼が増加傾向にあるなど、業界自体が問題意識を持っている中、日本形成外科学会では、「ニッポンの美容外科の未来のためにわれわれができること」というプログラムを開催。藤田医科大学ばんたね病院の犬飼麻妃助教授が登壇発表した、医局とクリニックで行う「美容医療教育提携」について改めて伺いました。美容医療業界で期待される新しい取り組みの今後の展望は注目です。
大学病院と美容クリニック間で正式な教育機関として提携
近年、形成外科では多くの医師がしっかりと学ぶ前に美容外科に進んでしまうことが問題視されています。その問題に対し大学病院や学会側から何かできることがあるのでは、と各方面でいろいろな取り組みが行われ始めています。私が所属する藤田医科大学でも、大学病院が美容医療の教育を行うことの必要性は以前から感じており、その一環として当大学病院と美容クリニック間で正式な教育機関としての連携関係を結びました。
連携関係を結んだことで、大学病院側から美容クリニックへ正式に医局員を派遣して、医局に所属しながらしっかりと美容医療を学ぶことが可能になりました。私自身もそうなのですが、これまでは大学病院で勤めながら美容医療を学ぶためには、休日を返上して見学させていただけるクリニックを探し、自分で勉強する方法しかなかったのです。ただ、次の世代の教育を考えたときに、同じような学び方をさせるのは時代に適しません。大学に所属したまま、きちんとした美容医療を学ぶシステムがあれば、知識も技術力もしっかり身につけることができますし、一人ひとりの医師が高い技術力を身につけることで美容医療全体のレベル向上にもつながると考えています。
私どもの大学病院と美容クリニックの連携は、上司である井上義一准教授の発案から始まっています。井上准教授は、自分が美容を学んで手術が上手くなったという経験から保険診療中心の形成外科医も美容を学ぶことは大切だという考えを持たれています。最初は大学病院として美容外科を作ることやクリニックにアルバイトを派遣する方向で動きました。でも、大学病院を大きく変えることは難しいですし、バイトを受け入れてもらいたくても売り上げることができない医師の受け入れ先はなかなかありません。そんな中、ザ・プラス美容外科のジョン先生が当科と協力して研究をおこなっていきたいとお話をいただきました。奥本隆行教授も今後の美容教育の重要さは理解されておりましたので、お二人のお話により、研究だけでなく教育も含めた連携を結んでくださり、今の形を作り上げることができました。
専門医資格を取るまでにも学べるシステムを整備
現状の課題としては、ザ・プラス美容外科は新しくできたクリニックなので、すでに指導医師が在中しているという形がとれなかったことです。今は大学から派遣している医師が院長という形で、私と井上准教授も大学病院と並行して在籍し、指導しながら回しています。人員を増やすことを検討したりと試行錯誤しているところですが、今後はもう少ししっかりした指導体制を作りたいですね。ただ、学会等で連携のお話をさせていただくと、「面白い取り組みだね」と声をかけていただくことが多く、今後はいろいろな可能性が考えられると思っています。
大学病院と美容クリニックの連携はまだ始まったばかりです。課題はありますが、連携という形を取ることで、医局に所属して美容を学べるだけでなく、美容に進んだ後に、「売り上げ競争についていけない」「美容は思ったのと違う」と考えた時にも形成外科へ戻りやすい点もメリットです。
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また、美容医療へ進む前に形成外科を経験して、専門医の資格を取っておく方がいいという考え方も少しずつ広がっています。しかし、専門医の資格を取得するまでの期間に美容医療を全く学べないまま、専門医資格を取得して美容医療へ進んでも美容は全くの初心者からのスタートとなります。美容医療は売上という側面も切り離せませんが、技術と資格はあっても美容初心者の医師と初めから美容医療に進んでいる先生では、どうしても差が出てしまいます。その観点からも専門医資格を取るまでにも学べるシステムがあるのは大きいと思います。今後の希望としては、当大学病院だけでなく、各大学病院が美容教育をシステム的に行うように変わっていくといいと思っています。それが実現すると美容外科自体がアメリカと同じようにスペシャリティはものになっていくのではないでしょうか。本来美容医療はスペシャリティなものですので、日本でもそんな未来を期待しています。
藤田医科大学 ばんたね病院 形成外科・美容外科 助教授
犬飼 麻妃 先生
いぬかい まき●2012年、愛知医科大学医学部を卒業し、名古屋掖済会病院にて初期研修医として勤務。2014年藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)形成外科入局、小嶋病院、豊川市民病院などを経て、2017年に藤田医科大学病院の助教に。2022年からは、藤田医科大学ばんたね病院の形成外科・美容外科で活躍中。日本形成外科学会専門医、日本美容外科学会専門医(JSAPS)。
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