1
月経血由来幹細胞で広がる可能性 女性のための再生医療の新スタンダードへ
2021.08.16
昨年、日本国内で初※となる月経血由来幹細胞での再生医療等提供計画の許認可を取得された伊沢博美先生。自身を「はまるととことん突き詰めるタイプ」だと分析される伊沢先生に、その原動力や再生医療に対する期待について語っていただきました。
(※2020年8月24日の受理時点)
保険と自費を経験して
医大卒業後、順天堂大学の大学院に進み、腫瘍放射線医学を学びました。テレビで放射線治療の特番を見て、これから発展していくであろう分野に、強い魅力を感じたんです。
大学病院で全身の様々ながん診療に携わり、成長や充実を感じると同時に、患者様の苦悩に直面することとなります。特に女性の方から寄せられる治療の過程での脱毛や皮膚炎についてのお悩みに、保険診療でできることには限りがありました。ただ病気を治すだけでなく、患者様のQOLも高めるための選択肢として、美容医療をはじめとした自費診療に興味を持つようになりました。
そのような折りに、がん免疫療法に取り組まれる先生に出会い、「自費=美容」のイメージが変わりました。免疫療法を通じて幹細胞治療を知り、「細胞を使ってこんな治療ができるのか」と、その奥深さに驚きました。これまでの治療では思ったような結果を得られなかった患者様への新たな可能性になり得ると思ったんです。幹細胞治療を扱うクリニックに勤務しながらたくさんの文献を読むうちに、すっかりはまってしまいました。私は「これだ!」と思うととことん突き詰めたくなるタイプのようです。
「自分でやるしかない」理想を形にするために
ある文献で、月経血から採取した幹細胞を活用した治療があると知りました。「普通の血液とは違うな。何かが入っているんじゃないか」と昔から感じていたことが、現実として起きている。この幹細胞を使った治療をやってみたいと思いました。しかし、クリニックごとに方針があり、勤務医が自身の裁量で、再生医療の治療計画を新たに申請することは容易ではありません。「自分でやるしかない」と開業を決めました。
これまで保険と自費の両方に携わり、それぞれの良さを知っているからこそ、ふたつの境目なく、必要としている方に適切な治療を届けたい。女性特有の疾患や悩みに向き合う“女性の総合診療内科”でありながら、新たな可能性として再生医療の提供体制も整えたい。開業時には様々なことを考えました。「神宮外苑Woman Life Clinic」というクリニック名には、そうした想いが込められています。
治療提供までの道のり
月経血幹細胞については、動物実験でも卵巣機能改善の報告が得られています。当院ではこの治療を、卵巣が本来備えている機能を発揮できなくなったときに現れる更年期障害や月経不順、不妊症などの諸症状に対処する”卵巣のアンチエイジング“といった立ち位置に据えています。
自費研カタログ関連商品
自費研カタログ関連商品はありません
Clipを上書きしてもよろしいですか?