
『大人にも広がる発達障害。社会復帰まで支援するブレインクリニック東京』副院長 坂達典先生インタビュー
2019.08.22
近年注目される“大人の発達障害”。テレビでも特集が組まれるなど、その注目度は高まりを見せている。その治療に積極的に取り組んでいるのが、東京中央区に拠点を構えるブレインクリニック東京である。
脳波を測定するための最新検査法、“QEEG検査”や、発達障害の治療にも使えるという“TMS検査”などを取り入れているブレインクリニック。東京院の副院長・坂達典先生に、発達障害の最新の治療法や社会復帰支援についてまで、お話を伺ってきた。
近年広がる“大人の発達障害“
発達障害とは、コミュニケーションが苦手であったりこだわりが強かったりという症状が見られるアスペルガー症候群や、ケアレスミスや忘れ物が多いというADHDなどを含む、脳機能障害を指します。その特性自体は、多くの方が当てはまるものなのですが、その程度が強くなり、社会適応ができなくなってしまうほどの症状が出た時に、発達障害と診断されるのです。
近年注目されているのが、“大人の発達障害”です。大人の発達障害と言っても、成長する過程で急に症状が現れるわけではありません。子どもの頃から症状はあったものの、社会人になって初めて症状に気づいたのです。ライフステージの変化によって、責任や負担の範囲が広がるため、より顕著に症状が表面化してしまいます。大人になってからの発達障害が広がっている背景には、このような側面があるのです。
当院では、そのような大人の発達障害から子どもの発達障害。また、発達障害の特徴はあるのに、診断が下りないグレーゾーンの方。そして、発達障害の二次障害である、鬱や不安障害、パニック障害、アルコール依存症まで診断・治療を行っているクリニックとなります。
発達障害を可視化する“QEEG検査”
発達障害の診断には、QEEG検査(定量的脳波検査)を用いております。この検査は、コンピューターによってデジタル脳波を測ることで、様々な脳の状態を把握することができるものです。従来の光トポグラフィーではわからなかった発達障害の特徴を可視化することが可能となります。
(QEEG検査のデジタル脳波)
脳波は、δ(デルタ)波、θ(シータ)波、α(アルファ)波、β(ベータ)波の4つから成っており、これらの脳波の特徴を解析することで、総合的に発達障害が診断できます。
客観的な指標の無い精神科領域において、明確に数値として診断ができる検査として、欧米では需要の高まりを見せています。
この検査を行うことで、今まで鬱や統合失調症と診断されていた方が、発達障害だと診断されるようになりました。そうすることで、適切な治療や社会復帰の手助けをすることができるので、この検査は非常に有効であると考えています。
欧米では主流のTMS治療
当院では、発達障害の患者に対してTMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)を用いております。TMS治療は今年の6月から、うつ病治療に対して保険適用になったことで、記憶に新しい方も多いかと思います。(※既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められない成人のうつ病患者のみ、保険適用)
治療は、8の字コイルという特殊な刺激コイルを用いて、頭の外側から大脳を局所的に刺激する治療となります。前述のQEEG検査は、TMS治療を行うにあたり、脳のどの位置を刺激するのが一番効果的なのかを決める指標にもなっています。
発達障害の治療というと、薬物治療が挙げられますが、薬の場合は飲み続けなければならないという点や、副作用の心配などがあります。それに比べて、TMS治療では、15~30回の治療で安定した治療効果を得ることができると言われていますし、薬物治療のような副作用も報告されておりません。
また、治療の効果という面では、ADHD特有の集中力、多動や衝動性、攻撃的な行動の改善などが報告されており、なによりも顕著な効果のひとつが、「こうあるべき」という完璧思考の改善だと言われています。
日本では発達障害の治療にTMSが用いられることがほとんどないのに対して、欧米では積極的に活用されています。大学やクリニックでも臨床研究が行われ、高いエビデンスも示されています。
今後、日本にもTMS治療の波がやってくるのではないでしょうか。
(副院長 坂達典先生)
治療後の社会復帰支援も
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