
日本の国民病、肩こり。 頭痛・肩こりのボツリヌス治療の第一人者 が語るボツリヌス治療の理論と実践。連載第二回。
2018.05.11
肩こりのボツリヌス治療の実際における問題点
それがジストニアであるかどうかを理解しているかどうかは別として、現在のところ肩こりにボツリヌス治療を実施している施設について耳にすることが少なくありません。
ところが、なかなか普及していかないように見えます。理由は簡単、患者さんがその効果を評価していないことが多く、約半数は頸が重くなるなどの副作用が目立つとの噂もあります。ここには、投与する時の基本的な問題点が多く示されています。これは、診断の正確さと連動することですが、投与筋の選択、投与量についての検討が不十分であったことによると思われます。早く改善をさせたい、との思いから投与筋を増やしたり、投与量を増やしたりしがちですが、ここに間違いがあります。
頸部の筋肉は多く、こりに係わる筋がいずれであるのかを診察の段階で明確化しておくことが重要です。複数筋が対象になる場合には、優先順などを考え、全部に投与するべきではない。また首下がりを呈する可能性がある筋には当初からあえて少なめの投与を考えるなど、将来を見越して、段階的に進めていくという計画性が必要になります。
患者さんのエデュケーションも治療のポイント
患者さん自身も、どの部分が強くこっているのか、意外にもうまく表現できていないことも多く、治療を焦ってはいけません。長期的な視野をもって、当初は患者の納得を高めるように主たる筋肉のみに投与するなど、慎重に治療を開始すべきです。投与筋での有効性を患者に理解してもらうことが、それ以後の成果に大きく関わってきます。
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